Week2:ARI10-21SEA 実況:鈴木アナ、解説:大杜充

 昨年のNFC覇者SEAとRBエジェリン・ジェイムズを手に入れて躍進が期待されるARIの同地区対決という、楽しみな対戦。でしたが、どうにもパッとしない試合で眠くなりました。ARIはあいかわらずOLが泥壁のままでどうにもならないし、SEAはSEAでポロポロポロポロ、攻撃でも守備でも落球しまくり。さらに反則も重なって、ビッグプレイのチャンスをことごとく自らフイにするという。2年前に戻っちゃったような集中力の欠けっぷり。TEジェレミー・スティーヴンスも出てないのにこれではダメです。

  • カート・ワーナー (ARI/QB)

 NFL最重量を誇るくせにパスラッシュだだ漏れという、ただの豚OLを前に5被サック、3ファンブル。それでもポケット内でウロウロと粘って(これがポケット内での機動力ということですブルックスさん)、パス成功率60%を超えてるんだからマシな方。しかし、このままでは脳震盪で退場する日は近いです。

  • エジェリン・ジェイムズ (ARI/RB)

 注目の新エースですが、穴を開けるそぶりもない豚OLを前にどこ走ったものかと困りきった様子。ラッシュ64y、平均3.6yでは厳しい。むしろパスキャッチでの貢献に期待した方がいいですか。

  • ダーネル・ドケット (ARI/DT)

 ARIはオフェンスの壁はブタブタでしたが、ディフェンスの方の壁はこのドケット筆頭にランストップもパスラッシュもかなり頑張ってました。

  • エイドリアン・ウィルソン (ARI/SS)

 昨季、8サックというDBとしてはNFL記録となる数字残した、異常にアグレッシヴなS。この試合でも2サック、1INTとパスラッシュにランストップにと前への強さを見せて派手に暴れてましたが、一方でフラフラと前に上がっていったところをスコンと裏取られて一発TD許す場面も。ものすごい切れ味の諸刃の剣。

  • マット・ハセルベック (SEA/QB)

 序盤は長く残った3rdダウンをミドルパスで楽々クリアするなど、さすがと思わせるプレイ見せてましたが、あまりにも玉落とすWR陣にキレたか、徐々にテンションダウン。挙句、ヘルメットでなく帽子かぶったままフィールドに出て行こうとして、その次のプレイで漫然とパス投げてINTされるという、なんともヒドいボンヤリぶり見せる。

  • ネイト・バールソン (SEA/WR)

 MINから獲った新戦力ですが、早くもSEAのWR名物、落球癖を身に着けて、チームにすっかり馴染んでました。

  • フロイド・ウォマック (SEA/LG)

 MINに移籍したスティーヴ・ハッチンソンに替わってLGを務めてましたが、ランブロック、パスプロテクションともいまいちしょぼく、アグレッシヴなARIのDLに完敗。こりゃ、やっぱりバールソン←→ハッチンソンはSEAの大損で終わりそう。

  • 鈴木聡彦 (NHK/実況)

 この前、サッカー中継のピッチリポートしてた時にも「おや」と思ったのですが、なんか声変わってません? 以前の軽薄な感じが薄れた気がします。単に年取ったというだけなのか、長野の地酒でも飲みすぎたのか。

(4)AFC西地区

 これでプレビュウも半分。書き始めたの8日ですから、ちょうど10日。まあ、いつものペースです。

1.DENブロンコス (昨季13勝3敗→今季予想11勝5敗、地区優勝)

  • Last Season:昨季のNFLは、開幕から連勝続けてたINDが話題の中心でしたが、その影でDENもこっそり絶好調。得点7位、失点4位とあいかわらずバランス取れた戦力で、第2シードを悠々確保。プレイオフでは、初戦でNEの自滅を誘って3連覇を阻んだものの、続くディヴィジョン決勝ではQBジェイク・プラマーの大暴れで自滅してPITに完敗。
  • Best:このオフは、いつまで経っても一発屋気質が抜けない"永遠の未来のエース候補"のくせに、生意気にも起用法にブーブー言い出したWRアシュリー・レリーをあっさり切り捨て、GBから取ったジェヴォン・ウォーカーにチェンジ。ウォーカーもGBでブーブー言ってた男ですが、こちらはレリーと違って、本物のビッグプレイメイカです。実力を発揮すれば、まだまだ元気な36歳WRロッド・スミスとのコンビはリーグ屈指の破壊力。INDに次ぐ「レギュラシーズン副総長」だったチームに、突き抜ける爆発力をもたらしえます。このWR陣を得て、QBジェイク・プラマーはいよいよ正念場。今年のドラフトでは、チームは指名権をトレードアップしてまでQBを指名するという最後通牒を通告してます。これでプラマーが発奮すれば良し。
     DEN恒例、鬼のRB人事は今年も相変わらずで、昨季1000y走ったマイク・アンダーソン、チェンジオブペースでそれなりに効いてたロン・デインを容赦なく粛清。アンダーソンなんてこれまでよく生き延びた方です。今季はテイタム・ベルに、ドラフト外新人のマイク・ベルという、2人のベルを併用する"ロンド・ベル"で行く模様。マイクはどの程度の選手か知りませんが、まあ、ゾーンブロックが強力な自慢のOLは残ってますから今年も二人合わせて1500yとかいくのでしょうどうせ。
  • Worst:昨プレイオフでのド派手な散りっぷりからして、いよいよQBプラマーではプレイオフ勝てないんじゃないかという疑いが出てきてます。プラマーというと、かつては逆転大好き男として精神力だけが売りなタイプだったんですが。最近では、いくらか安定感が増した分、勝負所で何とかしてくれそうな期待感は薄れてしまった印象。今年もショボショボと尻すぼみのようだと、来オフには断頭台の露と消えることでしょう。1年棒に振るような大怪我明けのWRウォーカーは本調子を取りも出せるのか、そろそろエースとして頼るのは年齢的に厳しくなってきたWRスミスの衰えはどうか、1OLの助けがあるといってもさすがにしょぼい印象のこのRB陣で大丈夫か、とオフェンスには他にも不安要素ないわけではないだけに、QBプラマーの真価が問われます。しかし、このチームはRBは非常識な早さで見切るくせに、QBはプラマーにしろ前任のブライアン・グリーシーにしろ、だいぶダメに見えても結構引っ張るというのは何なのでしょう。
     ディフェンスは、LBから後ろはあいかわらず獰猛ですが、DEトレヴァー・プライスが抜け、代わりにCLEからDEケナード・ラングが加入と、更にまっ茶色になったDLが手薄。崩れるとしたらここからか。それにしても、なんでCLEのDLばっかり来るんでしょう。
    • ここ6年は連続5割以上、計61勝35敗という抜群の安定感を誇りながら、それでいてプレイオフではここ6年で1勝のみという無類の勝負弱さも備えるDEN。正直、好きなチームではないのですが、大きな減点もありません(普通のチームならRB流出は大減点なんですが)し、今季も地区優勝は軽く行くんじゃないですか。と思ったら、開幕戦でQBプラマーが3INT、1ファンブルロストと断頭台に猛突進してるようですけど。プレイオフでの弱さというのは、選手の質というより、無策のままぶつかるコーチ陣の責任の方が大きいように見てるので、改善する可能性は低いと思います。

2.SDチャージャーズ (昨季9勝7敗→今季予想10勝6敗、WC)

  • Last Season:前年の躍進から期待されるも、序盤3勝4敗と出遅れ。その後、5連勝と巻き返しを見せ、Week15にはINDのパーフェクトシーズン阻止と盛り上げてくれましたが、そこで燃え尽きたか最後は2連敗で終戦。同地区のDENに2敗したのが痛かった。
  • Best:全体的に戦力の変動は少なく、昨季以上の成績を収められるかどうかはドリュー・ブリーズに代わる新エースQBフィリップ・リヴァース次第。このチームのQBの仕事というのは、基本的に超万能型RBラディニアン・トムリンソンへのハンドオフとショートパス、あとどんなQBでも見つけられる大型TEアントニオ・ゲイツへのショートパスのみ。あと、いるんだかいないんだか分からないので相手ディフェンスも全然警戒しないWRへのパスとかも、ごくたまに投げますが。実に分かりやすい超ガチガチの攻撃スタイルで、QBを選ばないだけに、3年目にして初先発となるリヴァースへの不安は少ないです。なにせ才能という点ではかなり疑わしいものがあったブリーズですら活躍できたくらいですから。
     ディフェンスは、リーグ1位のラン守備を支えるイゴール・オルシャンスキ、ルイス・カスティーヨの若手DEコンビに、獰猛にサックを量産する昨季新人王OLBショーン・メリマンが揃う前7人は活きが良い。あいかわらずエースCBが成長してるんだかしてないんだか分からないクエンティン・ジャマーというDB陣はかなり微妙な面子ですが、メリマンのパスラッシュが効けばどうとでもごまかせるでしょう。
  • Worst:いくら才能が微妙だったとはいえ、実際にここ2年で51TD、21勝とこれ以上ないくらいの結果を出していたブリーズをあっさり切り捨てるのは、SDのフロント以上にブリーズの才能を信じてなかった私ですらちょっとどうかと思う。人として。SDの単純なオフェンスシステムでは誰がQBでも大差なく機能するのは確かですが。ただ、機能させたうえで、チームをしっかり勝たせることができるかは「ちょっとの差」の部分が大きいわけです。果たしてリヴァースにその「ちょっとの差」を感じさせないだけのものがあるかはまだ未知数。それは、誰が見ても分かる身体能力的な才能とかとはまた違う才能ですから。
    • なにせこれまで一度もプレイしてないQBの才能次第という状況なので、予想しにくいSD。ドリュー・ブリーズがいなくなったからといって、極端に力落ちるなんてことは考えられないですが、では急上昇するかというとそれもブリーズに気の毒な気がする。まあ、リヴァースがやらかして接戦を次から次に落とすようなことがなければ、ほぼ横ばいというところか。RBトムリンソンの健康が大前提ですが。どちらにしろ、あまりにガチガチで分かりやすいこの攻撃スタイルを継続するのであれば、よほどリヴァースが幸運な男であるか、守備が大当たりでもしない限りプレイオフから先は難しいと思う。まあ、マーティ・ショッテンハイマーHCとウェイド・フィリップスDCの組み合わせですから。

3.KCチーフス (昨季10勝6敗→今季予想8勝8敗)

  • Last Season:昨季も攻撃1位、守備25位と、あいかわらず相手を殴り倒すことしか考えてないヴァミール仕事。それで2桁勝つんですから大したものですが、昨季は稀に見るハイレベルなプレイオフ争いとなったために惜しくもプレイオフ進出はならず。最終週、同じく攻撃型チームとして台頭してきたCINを37-3と豪快に撲殺したのを最後に、ディック・ヴァミールHC勇退
  • Best:攻め以外のことは考えられない人格破綻者だったディック・ヴァミールに代わり、NYJで攻守のバランスの良さを武器にしぶとく勝っていくチームを作っていた、常識人ハーマン・エドワーズが新HCに就任。勝つときも負けるときも豪快に笑いながら試合会場を去っていきそうな愛すべきバカチームから、粘り強く勝ち星を拾っていけるような粘着質なチームにシフトしていきそうです。守りのこともちゃんと考えてくれる人が来たことで、当然、守備の改善は期待できます。特に、チーム待望のシャットダウンCBタイ・ロウとCBパトリック・サーテインがコンビを組むCB、昨季11サックのDEジャレッド・アレンにドラ1新人DEタバ・ハリと揃うDEなどは、パス守備1位のチームと言われたらうっかり納得しそうなくらいの面子。これで昨季のパス守備30位から改善しないわけがない。守備のビッグプレイから流れを変えるなどという、これまでのKCとは無縁の勝ち方もできるかもしれません。
  • Worst:ハーマン・エドワーズはしぶとくて有能なHCだと思いますが、NFLの中でもそのチーム作りの偏りっぷりでは極北に位置するKCに合うかとなるとまた話は別。攻撃一辺倒でもそれなりに結果を出してきたチームだけに、変にバランスがどうとか細かい考えると、頭から煙が出てくる危険も。エドワーズHCは攻撃についてはかなり堅い、保守的なタイプなので、攻撃の選手たちはヴァミールの時の方が楽しかったとブーブー言い出しかねません。そもそも、KCのドンパチオフェンスを支えてきたOLの老朽化が激しく、オフェンス力を維持できるか怪しいのですが、これでオフェンスの数字落ちるようだと「やっぱヴァミールでないと」と言われてしまうのがエドワーズHCにとって辛いところです。かといって、守りだけで勝てるほどは急に守備も強くならないでしょう。タレントはそれなりに揃えてきてるのですが、なにせチーム自体に守りの文化がありませんから。MINなどと同じです。最悪、攻守とも中途半端、これといった見所もなく何となく負けを重ねるようなことに。
    • OLの弱体化とディフェンスの強化、HCの交代と、どの程度作用するか分かりにくい部分での戦力変動が大きく、ここも読み辛いチーム。突出したものはないけど安定感はあるQBトレント・グリーンとエドワーズHCの組み合わせは相性良さそうで、そう大崩れはしないはず。と思ったら、そのグリーンは開幕戦で脳震盪だし。あいかわらずエドワーズのQBの健康運はすごいことになってます。

4.OAKレイダーズ (昨季4勝12敗→今季予想5勝11敗)

  • Last Season:WRランディ・モス、RBラモント・ジョーダンとオフェンスで大型補強を敢行、台風の目になるかと思われたものの、いざ開幕してみるとあっという間に温帯低気圧に。緩みきった規律はいかんともしがたく、落ちるところまで落ちたと思われた前年より更に勝ち星を落とすという悲惨な結果に。当然、ノーヴ・ターナーHCはクビ。
  • Best:前年は大型補強をしたオフェンスですが、今オフはQBをケリー・コリンズからデリック・ブルックスに入れ替えるという、補強…?という程度の動きのみ。期待できる要素というと、リーグ最凶WRランディ・モスがまだポテンシャルを完全に発揮しきっていないということくらい。昨季はケガもあってギリギリ1000yを突破した程度、あと軽く500yは上積みする余地はあります。昨季の第2WRジェリー・ポーターがアート・シェル新HCに干されてるらしいので、プラス500yでも足りないくらいかもしれないですが。
     一方、ディフェンスの方はポジティブな要素もないではない。補強したDEランス・ジョンストン、CBタイロン・プールと大物とは言えないけどそれなりのベテランたち、ドラ1新人Sマイケル・ハフといったところが期待通り、では昨季27位の守備がそう改善しそうにはないので、期待以上の活躍見せれば何とか。
  • Worst:今季のOAKはパワーラン&ロングパスというクラシックスタイルのオフェンスの復活を目指してるらしいですが、それに適合した人材はWRモスのみ。前年、NYJの2番手RBから先発に迎えられたRBラモント・ジョーダンは1000y突破するなど頑張ったものの、平均yは前年比マイナス1.4yと大きく数字を落として4yを割り込み、やっぱり2番手の器でしかなかった様子。だから言ったのに。QBも、身体能力も心臓もカルペッパさんを一回り小さくした感じのブルックスさんでは、モスのポテンシャルなど引き出せるわけもない。悪童としての潜在能力だけ存分に引き出して、サイドラインで罵倒されて泣かされて終わりです。そして何よりOLがどうしようもなくかっぱえびせんで、パワーランを出す穴もロングパスを投げる時間も作れそうもないのがどうしようもない。ブルックスがあっさり壊れて(身体的に壊れるのと精神的に壊れるのとどっちが早いかは分かりませんが)、またトゥイアソトッポロピーポとかなんとかいう名前の控えQBが出てくることになる気がします。
    • 開幕戦でのダメっぷりを見ると、とても5勝もしそうにない気がしてきてます。4Qには早くもブルックスさんは降ろされ、トゥイアソトッポジージョではなくアンドリュー・ウォルターとかいうQB出てきてましたし。TENなどのように、一度高給取りのベテランを根こそぎぶった切るくらいのことしないと、いつまでたっても立ち直れないんではないでしょうか。

1.DENブロンコス(11-5)
2.SDチャージャーズ(10-6)
3.KCチーフス(8-8)
4.OAKレイダーズ(5-11)

AFCまとめ。

 AFC分をまとめますと。

地区優勝:NE、BAL、IND、DEN
ワイルドカード:PIT、SD

 6チーム中4チームが昨季のプレイオフチームという、例年になく固い予想に。これもBest&Worstの新プレビュウのおかげでしょうか。ここからさらにスーパーボウル進出チームを予想するわけですが。アンバランスなIND、プレイオフに弱いDEN、保守的過ぎるSDはプレイオフで当てにするつもりゼロなので、あっさり3チームに絞れます。本命は◎BAL。私の推すチームとしては珍しく、開幕戦でTB相手に27-0と圧勝して幸先良いスタート見せてくれました。これはいけます今年こそは。対抗はNEか、PITか。うーん、いまいちピンと来ない。どちらのチームもアダム・ヴィナティエリ、ジェロウム・ベティスという勝負を決めてきた男が去って、時代に一区切りついてしまった感が引っかかります。どちらかといえば、ラン攻撃、パス守備に改善の可能性があるNEの方か。ブレイディはロスリスバーガーと違ってネタ化する心配もありませんし。◎BAL、○NE。▲には今季プレイオフに出てこれるような本物のCINで。

(3)AFC南地区

1.INDコルツ (昨季14勝2敗→今季予想10勝6敗、地区優勝)

  • Last Season:開幕から得意のオフェンス以上にこれまでザルだったディフェンスが絶好調。13連勝でパーフェクト達成かと騒がれるものの、Week15でSDにやられて緊張の糸が切れてからは見事に失速。プレイオフ入ってもKマイク・ヴァンダージャットがサクッと外して第6シードのPIT相手に敗北、結局いつものレギュラシーズン番長ぶりを発揮しただけのシーズンでした。
  • Best:オフ最大の収穫は、このチームのレギュラシーズン番長ぶりの象徴であり、そのくせ文句だけはブツブツ言う反乱分子でもあったKヴァンダージャットを粛清、代わりに勝負強さの象徴、クラッチャーKアダム・ヴィナティエリをNEから手に入れたこと。どうせヴァンダージャット始末するならトリプレッツが揃ってる間にやっておけばいいものをと思わないではないですが。しかし、まだQBペイトン・マニングオーディブル考えすぎて頭ハゲ上がるまで猶予は若干ある、遅過ぎるということはない。チーム最大の穴が埋まり、悲願のスーパーボウル進出もいよいよ現実のものになるとかならないとか。
  • Worst:最大の穴は埋まったかもしれませんが、それ以外のところにボコボコと穴開いてしまったのが今オフ。何といってもRBエジェリン・ジェイムズが出奔。しかも、この現代最高クラスの万能型RBの穴埋めを、RBドミニク・ローズの内部昇格と新人で済ませようとか。DENじゃないんですから。ラン攻撃が壊滅=パス攻撃に偏る、というようなことになると、ますますQBマニングの独裁ぶりが進みそう。今でもOCトム・ムーアおじいちゃんが一生懸命考えて出したプレイーコールは、片っ端からマニングに握りつぶされてるわけですが。今季はいよいよ嫌になったムーアじいちゃんが、考えることを放棄してボケてしまい、サイドラインを徘徊し出す危険性があります。
     ディフェンスでは、ランストップの要だったDTラリー・トリプレットが移籍。トリプレット自体はそうスペシャルな選手というわけでもないですが、その穴をDEやってた選手のコンバートで乗り切ろうというのは、傷口を泥水で洗ってホチキスで止めるような大雑把な処置。そこから化膿して致命傷にならなければいいですが。
    • 主力の流出とそのおざなりな穴埋めで、どうにもアンバランスな戦力に。元々が攻撃に偏ったアンバランスなチームなんですが、その攻撃までもがRBエジェリンが抜けてアンバランスになってます。QBマニングのオーディブル気狂いっぷりは健在なのでプレイオフを逃すことはないと思いますが、このアンバランスさでは確実にどこかで派手にコケます。せっかくKヴィナティエリ取ってきたのに、勝負強さとか全く問題にならないような負け方をプレイオフ初戦でして終了とかそんな感じ。

2.JAXジャガーズ (昨季12勝4敗→今季予想9勝7敗)

  • Last Season:堅い守備、固い攻撃、柔らかいスケジュールで順調に白星を重ねて、INDには及ばなかったもののワイルドカードで久しぶりのプレイオフ進出。ただ、終盤を前にケガしてたのがギリギリプレイオフに戻ってきたQBバイロン・レフトウィッチとそれを好リリーフして連勝してたデヴィッド・ギャラードのQB問題で微妙な空気になってしまったこともあって、プレイオフ初戦であっさりNEに完敗。
  • Best:エースとして長いこと君臨してきたWRジミー・スミスが、プレイオフでQBレフトウィッチの剛速球をポロポロ落球したのがよほどショックだったか引退。これが良い方向に働いて、これまでスミスの影でいまいちパッとしなかったWRレジー・ウィリアムズ、マット・ジョーンズのドラ1長身WRコンビが台頭、レフトウィッチの豪腕が唸りまくるというのがベスト。昨季のプレイぶり見る限り、2人もポロポロ落としてくれそうでいまいち期待薄ですけど。それならまだ昨年のTBの"キャデラック"に続いて活躍しそうな名前の、今年のドラ1TEメルセデス・ルイスの方が期待できるかも。この選手もハズレなら、JAXのフロントはどれだけレシーバ見る目ないんだという話になります。とにかく誰でもいいから大型レシーバがブレイクして、ゴール前での決定力が向上すれば、守備は堅くてバランス取れた戦力だけにINDの首も狙えます。
  • Worst:レシーバどもが揃って木偶の坊だった場合。豪腕だけど小回りの利かないQBレフトウィッチも一緒に木偶の棒と化すことになります。その場合、残る攻撃のオプションは、能力は高いけど信頼性は低いRBフレッド・テイラーのみ。RBも後進が全然育ってませんので、テイラーが壊れたらもう何もなくなります。8シーズンで2回しかフル出場したことがないテイラーの健康にプレイオフを賭けるという、綱渡りなギャンブルを乗り越えられるか。綱渡りで落っこちた時は、いっそQBをレフトウィッチから走力のあるギャラードにチェンジするという手もありますが、目先の勝利のためにQBクルクル変えるのはドツボコースに突入する危険も。
    • この地区で打倒INDを期待できる唯一のチームとして、ここ2年シンデレラ候補に推してきましたが、どうにも突き抜けきれない。良い成績収めてても、QBレフトウィッチ、RBテイラーというオフェンスの主軸2人が、途中でケガしてしまって自然と失速してしまうのがネックです。規律はしっかりしててくだらない取りこぼしとかは少なそうなタイプなので、レギュラシーズンでは星をまとめてくるかもしれませんが、格上のチームには大人しくきっちり負けるタイプだと思います。

3.HOUテキサンズ (昨季2勝14敗→今季予想6勝10敗)

  • Last Season:前年が5割まであと一歩の7勝、創設4年目を迎えて「そろそろプレイオフも」なんて言ってたら2勝14敗と思いっきり地獄を見ました。攻撃30位、守備31位と夢も希望もない結果で、ドム・ケイパーズHC解任。新HCはDENのOCだったゲアリ・キュビアック。
  • Best:昨年もリーグダントツトップの68被サック、実にペイトン・マニングの4倍のサックを喰らうという、最高にマゾいことになっていたQBデヴィッド・カー。まずこのドSなOLたちを何とかしないと早々にカーはイっちゃうと見たか、強力OLを誇ったDENから来たケイパーズHCは、GBの名Cマイク・フラナガンの補強に、ドラフトでOL2人を指名とテコ入れ。これでカーの並み外れたマゾさが解消されるようなら、新人年からコンビを組んできたWRアンドレ・ジョンソンに、BUFのエースだったエリック・モウルズ、DENから付いてきたTEジェブ・プッツィアが加わって地味に豪華なことになっているレシーバ陣とのパス攻撃は結構楽しみあります。
     ディフェンスでは、今年のドラフト1巡1位DE"スーパー"マリオ・ウィリアムズ。ファンが望んでいたRBレジー・ブッシュを蹴ってまで指名したということで、星を手にしたヒゲの配管工ばりに相手を片っ端からなぎ倒してサック量産するくらいの活躍を期待。
  • Worst:エースRBドゥマニク・デイヴィスがヒザの故障で今季絶望という大アクシデント。開幕する前から「だからRBレジー・ブッシュ指名しときゃ良かったのに」とファンが思いっきり後悔するような事態に。代わりに先発務めるのは、今年のドラフト6巡170位ウォリ・ランディか、RB捨て場のDENから拾ったロン・デインか、どちらにしろラン攻撃はリーグ最低クラスに落ち込むこと必至。そうなると、相手ディフェンスとしてはパスに的を絞りやすくなるので、QBカーのマゾ度が更にアップして、とても放送できないようなことになってしまう可能性も。
    • WR、OLがいくらか強化されて、RBが弱体化。QBカーの肩に全てが掛かってきそうなシーズン。4年で200回以上のサックを浴びながら4試合しか休んでないというタフさ自慢のビックリ人間大賞としてではなく、チームリーダとして存在価値を証明できますか。「ヴィンス・ヤングかマット・ライナート指名しときゃ良かったのに」とかいう声が出てくるようだと、行く末はティム・カウチです。

4.TENタイタンズ (昨季4勝12敗→今季予想4勝12敗)

  • Last Season:前年にサラリーキャップの前に大往生を遂げたため、再建のシーズンに。攻撃17位、守備19位と数字はそれなりにまとめたものの、ここぞで頼れるような突出したタレントがおらず、10点差以内のゲームで1勝7敗と勝ちきれなかった。
  • Best:英雄QBスティーヴ・マクネアを放出、てっきり後をヴィリー・ヴォレックに任せるのかと思ったら、マクネアと同じ身体能力系のQBヴィンス・ヤングをドラフトで指名。今季はヴォレック先発で行くようですが、観客席から「どうせ負けるならヤング見せろ!」という声が聞こえてきそうな状況で、ヴォレックにとっては針の筵。そこで発奮したヴォレックがカーソン・パーマーが入ってきた時のジョン・キトナ並に、空気読まずにやたら頑張っちゃってヤングの出る幕なし、というのがベストシナリオですか。Cケヴィン・マワイ、WRデヴィッド・ギヴンズと渋い補強もしてますし、活躍してもおかしくはないです。まあ、その場合はヤングの育成が1年遅れることになるので、チームにとって本当にベストかは微妙なところですけど。RBの方も、一応クリス・ブラウンが引き続き先発だけど、ファンが期待してるのは新人レンデル・ホワイトの方という、似たような状況。ヴォレック&ブラウンの意地を期待するのか、さっさと見切ってヤング&ホワイトの育成に当てるのか、どちらにしろさっさと方針を決めた方が良いです。
  • Worst:最悪なのは、「どうせ俺なんて」と不貞腐れたヴォレックが飲んだくれてボロボロに、予定より早くQBヤングにスイッチしたけど経験不足からNFLの洗礼をモロに浴びてこちらもボコボコに、気付いたらなぜか第3QBのケリー・コリンズが投げてて目標失ったチームはバラバラに、というありがちなパターン。昨年のSFがハマってたやつです。ヴォレックがティム・ラテイとかぶります。新人QBが困ったときに縋れるような大物がRBにもWRにもいない現状で、民意に押されてヤングへのスイッチを急ぐようなことあると、このパターンにハマる可能性は高い。これにハマるとみんな不幸になるので気をつけてください。
    • ヴォレックかヤングか、と書いてきましたが、Week1、先発してるのコリンズなんですけど。ヤングもちょっと出たみたいだけど、ヴォレックは出番なし。一体なにが。ヴォレックが反乱でも起こしたんでしょうか。いきなりヤング出してるあたりに、やけっぱちなものを感じます。

1.INDコルツ(10-6)
2.JAXジャガーズ(9-7)
3.HOUテキサンズ(6-10)
4.TENタイタンズ(4-12)

NEのWRディオン・ブランチ、SEAへ。

 ゴネてたブランチは結局放出、そしてそれを取ったのはよりによってSEA。この結果、SEAのWRは、

 凄いな。この絶妙な一流半コレクターぶり。次の目標はアマニ・トゥーマーあたりですか。
 ↓でドゥマニク・デイヴィスが壊れてランはリーグ最低クラスと書いたHOUは、GBから昨年アーマン・グリーン、ナジェ・ダヴェンポートが壊れてる間に頑張ってたサムコン・ガドーもらったそう。

Week1:SDチャージャーズ 27-0 OAKレイダーズ 実況:曽根アナ、解説:河口正史

 今季最初のマンデーナイトだったわけですが、なんでこのカードを持ってきちゃったかというくらい、一方的な試合。こういう試合はもう放送枠1時間半くらいでいいんではないでしょうか。いきなり「レイダーズ今季もダメか」とか書かれてるし。このTSP SPORTSというサイトはたまに酷いです。

  • フィリップ・リヴァース(SD/QB)

 3年目にして初先発。一応結果出していたドリュー・ブリーズを追い出してまで起用するほどの素質というのはどの程度のもんかと、見ていたんですが最後まで見てもどの程度かは分かりませんでした。結局、パス投げたのはわずか11回(8回成功)、それも半分はRBへのパス。愛情なのか、信用してないだけなのかは知りませんが、ここまで徹底して固いプレイコールでは誰がQBやってもたいして違いません。このガチガチプレイコールで最後まで行くわけにはいかないんですから、もうちょっと投げさせればいいのに。いや、マーティ・ショッテンハイマーHCは最後まで行くつもりかもしれないですけど。

  • ラディニアン・トムリンソン(SD/RB)

 2Q早々で100yラッシュ達成とか、最初から働きすぎ。今年もFBロレンゾ・ニールの力を借りて走りまくりそうです。レシーバとしてもリヴァースを大いに助けることでしょう。

  • エリック・パーカー(SD/WR)

 やたらとリバースしてた人。結局ボール持ったのは最初の1回だけであとは全部フェイクだったんですが、それがかなりゲインしたのと、直後に今度はファンブルしたのとで、印象に残ってます。リバースフェイク、流行らせようとしてるんでしょうか。

  • キーナン・マカーデル(SD/WR)

 NFL16年目、今年36歳を迎えた大ベテラン。そんな年でしたかマカーデル。同期で現役やってるのはブレット・ファーヴだけとのことですが、スムースな動きで相手CBを翻弄してみせたり、まだまだ元気なおじちゃん。

  • ショーン・メリマン(SD/LB)

 昨年の守備新人王は今年もいきなり3サックと凶悪。スピード、パワー、テクニック、全て備えたパスラッシュで、OAKのざる豆腐OLを粉々にして豆乳に戻してやってました。メリマンに限らず、この試合のSD守備のパスラッシュは凄まじかった。

 凄まじいことになっちゃった被害者。開幕戦から7サック喰らってベンチに下げられる新エースQB。これ以上サック喰らったら死ぬと思って下げられたのかもしれませんが、精神的にはもう十分に瀕死。これだけサック喰らった原因のほとんどはあまりにも脆いOLのせい(リリーフしたQBも2サック貰ってるし)ですが、スクランブルする足はあってもポケット内の機動力には活かせないブルックスにも多少問題あり。あと、レシーバ探せないなら、もう最初からずっとランディ・モスのことだけ見てたらいいんじゃないですか。他のレシーバに投げても落球するだけみたいですし、モスなら髪の毛はみ出てて見つけやすいですし。

  • ランディ・モス(OAK/WR)

 今年からオフェンスリーダーに任命されたということで、前半にはOLに檄を飛ばす場面などリーダーっぽい姿も見られましたが、最終的にはいつものように不貞腐れてました。

  • ナムディ・アソムーア(OAK/CB)

 SDのKネイト・キーディングがせっかくFG外してくれたというのに、そこにアックスボンバーかまして台無しにしたハードヒットバカ。ダーティとバカは違うってことを指導しておいてください。

 今年のハーフタイムのコーナー担当。「しびれる〜!」という声の大きさにビクッとした。

  • ロバート・ギャザーズ(CIN/DE)

 他試合の結果ダイジェストで出てきただけなんですが。KCのQBトレント・グリーンがスライディングしてるところにヒットかまして脳震盪退場に追い込んだ犯人。よりによって、昨季エースQBを殺られた悲劇を経験してるCINの選手がこういうことやるとはね。    

Week1:IND26-21NYG 実況:黒氏アナ、解説:河口正史

 兄と弟のおでこボウル。両おでこのQBとしての力量はともかく、チームとしては力が接近していて、なかなかの好ゲーム。だったんですが、NYGが繰り返す反則のおかげで締まらない終わり方になってました。気の毒な判定もありましたが、しかし残り17秒でスパイクしようとしたところでフォルススタート取られて10秒差っ引かれたのには白けました。こんなことやってるようでは今季もやっぱりプレイオフ1回戦負けですか。

 あいかわらず相手がちょっとでも引いて守ろうとすれば易々1stダウン拾ってみせる凄みを見せる場面もありましたが、むしろ相手のディフェンスが見えてないかのような、あわやINTのパスが何度もあったことの方が心配なような、別に知ったことでもないような。地上戦でとてつもなく大きなハンデを負いながらも、何とか勝って兄の威厳を保ったのはさすがMVPというところ。でも試合後には「弟とは今でも全然仲良し」だとか言ってましたが、これ負けてたら確実に兄弟の仲に亀裂入ってたと思う。

  • ジョセフ・アダイ(IND/RB)

 今年のドラ1新人RB。エジェリン・ジェイムズに代わって先発昇格したRBドミニク・ローズがあまりに頼りないこともあって、いきなりかなり出番貰ってましたが、この試合見た限りではいささか小粒な印象。先発に強力なパワーランナでもいればチェンジ・オブ・ペースで光りそうな感じですが、あいにくローズもスピード型の非力なタイプですし。エジェリンもゴール前の決定力というのはある方ではなかったですが、今年はランでTD取るのはなるべく諦めた方がいいかも。

  • ダラス・クラーク(IND/TE)

 チーム最初のTDに、勝負を決定付ける1stダウン更新に。このヒゲはたまに出てきたと思ったら、対戦相手を絶望させるような重要な仕事をする、実に嫌らしい存在。見てる方としては「そこは絶対クラーク気をつけないとダメだろ」と思うんですが。マークしようにも他にマーヴィン・ハリソンもレジー・ウェインもブランドン・ストークリーもいてなかなか手が回らないことをいいことに、この日も悪逆非道の振る舞いを尽くしてました。

  • アダム・ヴィナティエリ(IND/K)

 INDに移ろうが、当然のようにFG4回蹴って4回成功。特に前半終了間際の48yFGを決めたのは大きかった。直前のプレイで、パス投げたそうなマニング兄をトニー・ダンジーHCが諭して、少しでも前に進んでおこうと固くランプレイを選択したものの全然進まず、マニング不貞腐れ気味という、嫌な空気漂っていた状況。これがヴァンダージャットなら、間違いなく更に場を険悪にさせるようなFG失敗してたはずですから。

  • ニック・ハーパー(IND/CB)

 全体的にパッとしなかったIND守備の中で、良くも悪くも唯一目立ってた選手。
 

  • ドワイト・フリーニー(IND/DE)

 INDが誇る怪物パスラッシャですが、この日はNYGのLTルーク・ペティグーに完敗。フリーニーのラッシュが効かないと、ひたすら速いけど軽い選手ばかり集められたIND守備というのは普通にズルズルやられます。特に、NYGのように強力なランと長身のレシーバという組み合わせには実に脆そう。相手が馬鹿みたいに反則しなければ、40点くらい取られてもおかしくなかったです。

  • INDのカバーチーム

 非常に集中を感じる集まりぶりでとても良かった。こういうところをしっかり作りこむのがトニー・ダンジーのいいところ。スペシャルチームが締まってるチームはそう簡単に負けないです。

  • イライ・マニング(NYG/QB)

 細かく守備の穴を見つけてプチプチつっつく兄に対して、弟は一発に頼る傾向が強いように見えます。キャリアの差によるものなのか、相棒のエースWRが兄はかのマーヴィン・ハリソンだけど弟はあのプラクシコ・バレスだからなのかは知りませんが。

  • ラクシコ・バレス(NYG/WR)

 4回キャッチで80y、平均20yというさすがのビッグプレイ製造機ぶり。前半見せたワンハンドキャッチは、全力疾走すれば余裕でキャッチできるところを、あえてちょっと緩めておいて派手に魅せるという、新庄剛志ばりのプレイに見えました。

  • ジェレミー・ショッキー(NYG/TE)

 こちらは直前のプレイで足痛そうにしてたと思ったら、次のプレイでは普通にダッシュしてTD決めるという、エメルソンばりのトリックスターぶりを披露。やっぱりどうなんでしょう、こういう曲者揃いというのは若手QBの育成という面で。

  • ブランドン・ジェイコブズ(NYG/RB)

 193㎝と、RBにしては珍しいやたら背の高いパワー型ランナ。なかなか果敢で、体の強さをいかした突進が活きの良い。小柄でキレ味勝負のチキ・バーバーとの凸凹コンビは、体の幅の差で幻惑したロン・デインとの"サンダー&ライトニング"とはまた微妙に違った、なかなか面白いコンビネーション。名づけるなら、"レイザー&ハチェット"とかそんな感じか。