ディヴィジョナルプレイオフその2。

  • SEA@CHI

 クロスゲームの見本市と化してる感のあるディヴィジョナルプレイオフ。均衡化も極まれりという感じですが。この試合は、お互いが必死に流れを掴もうと手を伸ばすも、シカゴの寒さにかじかんで掴みきれずOTまでもつれ合うという展開。
 シカゴ守備は、スロースタータというかしり上がりに調子出してくるような印象。レギュラシーズン中にも同じようなこと感じたので、これはチームとしての傾向なんでしょうか。オフェンスでスロースタータというのはよくありますけど。消耗して出足鈍くなることが多いディフェンスでは珍しい。若手が多いので、試合の入り方に課題がある反面、スタミナが豊富なので消耗戦になるとパワーで圧倒できるとかそういうことなのかも。
 注目のグロスマンの出来は。うーん。280y投げてるんですが、そのわりに微妙な印象。なにかイライ・マニングに近いものを感じるんですが。デジタル世代。プレイコールが当たりの時は、素晴らしいパス投げて才気を感じさせるんですけど、プレイが崩れた時に神経の行き届いてないスロウというか、心無いパスを投げてギョッとさせるようなところあります。そのパスが、守ってる方がギョッとするくらいにストライクでINTされることもあれば、捕る方がギョッとするような狭いところに通ったりもするという。このQBでスーパーボウルまで行きますかねえ。あまり、イメージ湧かないんですけど。
 SEAは、しぶとく戦って、一度は勝ちそうな流れを持ってきたかに見えたんですが。オフェンスは、最後はしり上がりCHI守備にビタッと止められてしまいましたが、24点取ったのだから上等です。RBアレキザンダも100y走りましたし。ディフェンスも悪くないように見えましたが、CBトゥルファント離脱で手薄になってたCBがしばしば一発を被弾したのが痛かった。新人ジェニングスとバビノーですからねえ。思えば、昨年のSBでも先発Sが壊れて、一発で炎上したりしてました。

  • NE@SD

 この試合は何と言ったらいいか。これまた3点差のクロスゲームだったわけですが、手に汗握る好ゲームというより、開いた口を塞ぐヒマがないドタバタ劇といった風情。NEのプレイの出来は最低といっていいくらいでしたが、SDは出来以外の部分が最悪でした。地雷踏みまくり。NEのチャンスの芽が完全に潰れたと思ったら、片っ端からSDが水をやって芽を復活させてあげてるんですから。
 地雷踏まなかったら、この前の対戦時のように40-15ぐらいでSDが勝てたはず。それくらいの力関係だったように見えました。NE守備は、頼みの知性派LB陣が立ち上がりからSDのパワーに圧倒されっぱなしで、トムリンソンはおろか、控えRBのターナーすら止められず。私はこの前のIND@BALの試合後のインタビュウで結果知ってしまってたのですが、これでどうやってNE勝ったんだろうと不思議に思いながら見てました。それぐらい圧倒的なやられよう。頑張ってたのは、あいかわらずキレキレのアサンテ・サミュエルくらい。あと、一部で注目のチャド・スコットは初っ端にゲイツ相手に良いタックル決めてました。それっきりでしたけど。
 攻撃でも、ブレイディはSDの3-4守備をなかなか読み切れず、3INT喫する大苦戦。ランを真面目に出すことは早々に諦めて、ディロンでもマローニでもなくケヴィン・フォーク先生を使い続けたのは、恐るべしベリチックという感じでしたが、単なる苦し紛れとも言えないことはない。
 で、やってしまったSD。何なのでしょう、この負けは。非常に受け入れ難いものがあるんではないかと思います。ほとんど自業自得ではあるんですけど。戦前に不安点として挙げた、リヴァースのこれまでの過保護ぶりとか、ショッテンハイマーの保守性というのも、敗因とまではいえなかったと思います。リヴァースも、誉めるような出来ではなかったですが、派手にぶっ壊れることもなく。通したパスの半分以上がゲイツとトムリンソンというのも別にいつものことですし、良くも悪くも目立ってませんでした。ショッテンハイマーも、4th&11からギャンブルとか、やけに積極的な采配もしてました。11y残しでのGoは、積極的というよりただのキチガイ沙汰な気もしましたけど。ギャンブルはともかく、あれだけ地上戦で圧倒してたのですから、もっと保守的にいってもいいくらいだったと思います。しかし、だとすると結局のところ、ミスで負けただけとしか言うほかないんでしょうか。あるいはショッテンハイマーは本格的に呪われてるとか。うーん。
 一つ。これは前から気になってたことなのですが、近年、アントニオ・ゲイツ、トニ・ゴンサーレス、ジェレミ・ショッキー、トッド・ヒープ、ジェイソン・ウィテン、アルジ・クランプラなどなど、WR並にパスキャッチで活躍するTEというのが流行してるわけですけど、にも関わらず、そうしたTEをメインターゲットとして活用してるチームがスーパーボウルに進めてないということ。いずれもかなりの強豪チームですし、ヒープのBAL、ショッキーのNYGなどは加入する1,2年前にSB進出してるチームだったことを考えると、ただの偶然ではないんではないかと。偶然ではないとしたら、何なのかといいますと。
 まず、TEへのパスというのは、LBに対してはスピードで、DBに対してはサイズでミスマッチが生じるので、ローリスクハイリターンが狙えるというので流行ってるわけです。ただ、プレイオフになると、当然、相手は守備の強いチームばかり。多少のミスマッチはなんとかしてしまう戦術、タレントを備えてる。そうなると、万能に見えたTEが、WRほどのスピードもないし、RBほどのパワー、走力もないという、どっちつかずな存在に成り下がってしまい、オフェンスが手詰まりになってしまう、と。ちなみに、この試合のゲイツは6キャッチ61y。それなりでしかないです。
 もう一つ考えられるのは。TEへのパスというのは、投げるQBからしたら難度は低いわけです。的はデカいし、多少ブレても上述のミスマッチで何とかしてもらえますから。そういう難度の低いパスをメインに頼ることで、QBの判断力が徐々に鈍化していき、いざプレイオフで厳しい状況に陥り、上述のようにTEも頼りにできないという時に対応できなくなる、とか。
 まあ、一つの仮説です。特に二つ目のは、そもそものQBの資質(デカい人にしか投げられないマイケル・ヴィック、カイル・ボウラーみたいな)とかプレイコールの問題も大きい気もするのでかなり怪しいのですが。こう考えると、結局、最後までゲイツ頼みのパス攻撃だったSDに対して、NEも今季WRがごっそり抜けたことで繰り上がり的にTEベン・ワトソンがメインターゲットとなってたのが、プレイオフに入ってWRジャバ・ギャフニィがラッキーボーイ的に浮上してきたのが大きかったとか、もっともらしいことも言えるということです。