(4)AFC西地区

 これでプレビュウも半分。書き始めたの8日ですから、ちょうど10日。まあ、いつものペースです。

1.DENブロンコス (昨季13勝3敗→今季予想11勝5敗、地区優勝)

  • Last Season:昨季のNFLは、開幕から連勝続けてたINDが話題の中心でしたが、その影でDENもこっそり絶好調。得点7位、失点4位とあいかわらずバランス取れた戦力で、第2シードを悠々確保。プレイオフでは、初戦でNEの自滅を誘って3連覇を阻んだものの、続くディヴィジョン決勝ではQBジェイク・プラマーの大暴れで自滅してPITに完敗。
  • Best:このオフは、いつまで経っても一発屋気質が抜けない"永遠の未来のエース候補"のくせに、生意気にも起用法にブーブー言い出したWRアシュリー・レリーをあっさり切り捨て、GBから取ったジェヴォン・ウォーカーにチェンジ。ウォーカーもGBでブーブー言ってた男ですが、こちらはレリーと違って、本物のビッグプレイメイカです。実力を発揮すれば、まだまだ元気な36歳WRロッド・スミスとのコンビはリーグ屈指の破壊力。INDに次ぐ「レギュラシーズン副総長」だったチームに、突き抜ける爆発力をもたらしえます。このWR陣を得て、QBジェイク・プラマーはいよいよ正念場。今年のドラフトでは、チームは指名権をトレードアップしてまでQBを指名するという最後通牒を通告してます。これでプラマーが発奮すれば良し。
     DEN恒例、鬼のRB人事は今年も相変わらずで、昨季1000y走ったマイク・アンダーソン、チェンジオブペースでそれなりに効いてたロン・デインを容赦なく粛清。アンダーソンなんてこれまでよく生き延びた方です。今季はテイタム・ベルに、ドラフト外新人のマイク・ベルという、2人のベルを併用する"ロンド・ベル"で行く模様。マイクはどの程度の選手か知りませんが、まあ、ゾーンブロックが強力な自慢のOLは残ってますから今年も二人合わせて1500yとかいくのでしょうどうせ。
  • Worst:昨プレイオフでのド派手な散りっぷりからして、いよいよQBプラマーではプレイオフ勝てないんじゃないかという疑いが出てきてます。プラマーというと、かつては逆転大好き男として精神力だけが売りなタイプだったんですが。最近では、いくらか安定感が増した分、勝負所で何とかしてくれそうな期待感は薄れてしまった印象。今年もショボショボと尻すぼみのようだと、来オフには断頭台の露と消えることでしょう。1年棒に振るような大怪我明けのWRウォーカーは本調子を取りも出せるのか、そろそろエースとして頼るのは年齢的に厳しくなってきたWRスミスの衰えはどうか、1OLの助けがあるといってもさすがにしょぼい印象のこのRB陣で大丈夫か、とオフェンスには他にも不安要素ないわけではないだけに、QBプラマーの真価が問われます。しかし、このチームはRBは非常識な早さで見切るくせに、QBはプラマーにしろ前任のブライアン・グリーシーにしろ、だいぶダメに見えても結構引っ張るというのは何なのでしょう。
     ディフェンスは、LBから後ろはあいかわらず獰猛ですが、DEトレヴァー・プライスが抜け、代わりにCLEからDEケナード・ラングが加入と、更にまっ茶色になったDLが手薄。崩れるとしたらここからか。それにしても、なんでCLEのDLばっかり来るんでしょう。
    • ここ6年は連続5割以上、計61勝35敗という抜群の安定感を誇りながら、それでいてプレイオフではここ6年で1勝のみという無類の勝負弱さも備えるDEN。正直、好きなチームではないのですが、大きな減点もありません(普通のチームならRB流出は大減点なんですが)し、今季も地区優勝は軽く行くんじゃないですか。と思ったら、開幕戦でQBプラマーが3INT、1ファンブルロストと断頭台に猛突進してるようですけど。プレイオフでの弱さというのは、選手の質というより、無策のままぶつかるコーチ陣の責任の方が大きいように見てるので、改善する可能性は低いと思います。

2.SDチャージャーズ (昨季9勝7敗→今季予想10勝6敗、WC)

  • Last Season:前年の躍進から期待されるも、序盤3勝4敗と出遅れ。その後、5連勝と巻き返しを見せ、Week15にはINDのパーフェクトシーズン阻止と盛り上げてくれましたが、そこで燃え尽きたか最後は2連敗で終戦。同地区のDENに2敗したのが痛かった。
  • Best:全体的に戦力の変動は少なく、昨季以上の成績を収められるかどうかはドリュー・ブリーズに代わる新エースQBフィリップ・リヴァース次第。このチームのQBの仕事というのは、基本的に超万能型RBラディニアン・トムリンソンへのハンドオフとショートパス、あとどんなQBでも見つけられる大型TEアントニオ・ゲイツへのショートパスのみ。あと、いるんだかいないんだか分からないので相手ディフェンスも全然警戒しないWRへのパスとかも、ごくたまに投げますが。実に分かりやすい超ガチガチの攻撃スタイルで、QBを選ばないだけに、3年目にして初先発となるリヴァースへの不安は少ないです。なにせ才能という点ではかなり疑わしいものがあったブリーズですら活躍できたくらいですから。
     ディフェンスは、リーグ1位のラン守備を支えるイゴール・オルシャンスキ、ルイス・カスティーヨの若手DEコンビに、獰猛にサックを量産する昨季新人王OLBショーン・メリマンが揃う前7人は活きが良い。あいかわらずエースCBが成長してるんだかしてないんだか分からないクエンティン・ジャマーというDB陣はかなり微妙な面子ですが、メリマンのパスラッシュが効けばどうとでもごまかせるでしょう。
  • Worst:いくら才能が微妙だったとはいえ、実際にここ2年で51TD、21勝とこれ以上ないくらいの結果を出していたブリーズをあっさり切り捨てるのは、SDのフロント以上にブリーズの才能を信じてなかった私ですらちょっとどうかと思う。人として。SDの単純なオフェンスシステムでは誰がQBでも大差なく機能するのは確かですが。ただ、機能させたうえで、チームをしっかり勝たせることができるかは「ちょっとの差」の部分が大きいわけです。果たしてリヴァースにその「ちょっとの差」を感じさせないだけのものがあるかはまだ未知数。それは、誰が見ても分かる身体能力的な才能とかとはまた違う才能ですから。
    • なにせこれまで一度もプレイしてないQBの才能次第という状況なので、予想しにくいSD。ドリュー・ブリーズがいなくなったからといって、極端に力落ちるなんてことは考えられないですが、では急上昇するかというとそれもブリーズに気の毒な気がする。まあ、リヴァースがやらかして接戦を次から次に落とすようなことがなければ、ほぼ横ばいというところか。RBトムリンソンの健康が大前提ですが。どちらにしろ、あまりにガチガチで分かりやすいこの攻撃スタイルを継続するのであれば、よほどリヴァースが幸運な男であるか、守備が大当たりでもしない限りプレイオフから先は難しいと思う。まあ、マーティ・ショッテンハイマーHCとウェイド・フィリップスDCの組み合わせですから。

3.KCチーフス (昨季10勝6敗→今季予想8勝8敗)

  • Last Season:昨季も攻撃1位、守備25位と、あいかわらず相手を殴り倒すことしか考えてないヴァミール仕事。それで2桁勝つんですから大したものですが、昨季は稀に見るハイレベルなプレイオフ争いとなったために惜しくもプレイオフ進出はならず。最終週、同じく攻撃型チームとして台頭してきたCINを37-3と豪快に撲殺したのを最後に、ディック・ヴァミールHC勇退
  • Best:攻め以外のことは考えられない人格破綻者だったディック・ヴァミールに代わり、NYJで攻守のバランスの良さを武器にしぶとく勝っていくチームを作っていた、常識人ハーマン・エドワーズが新HCに就任。勝つときも負けるときも豪快に笑いながら試合会場を去っていきそうな愛すべきバカチームから、粘り強く勝ち星を拾っていけるような粘着質なチームにシフトしていきそうです。守りのこともちゃんと考えてくれる人が来たことで、当然、守備の改善は期待できます。特に、チーム待望のシャットダウンCBタイ・ロウとCBパトリック・サーテインがコンビを組むCB、昨季11サックのDEジャレッド・アレンにドラ1新人DEタバ・ハリと揃うDEなどは、パス守備1位のチームと言われたらうっかり納得しそうなくらいの面子。これで昨季のパス守備30位から改善しないわけがない。守備のビッグプレイから流れを変えるなどという、これまでのKCとは無縁の勝ち方もできるかもしれません。
  • Worst:ハーマン・エドワーズはしぶとくて有能なHCだと思いますが、NFLの中でもそのチーム作りの偏りっぷりでは極北に位置するKCに合うかとなるとまた話は別。攻撃一辺倒でもそれなりに結果を出してきたチームだけに、変にバランスがどうとか細かい考えると、頭から煙が出てくる危険も。エドワーズHCは攻撃についてはかなり堅い、保守的なタイプなので、攻撃の選手たちはヴァミールの時の方が楽しかったとブーブー言い出しかねません。そもそも、KCのドンパチオフェンスを支えてきたOLの老朽化が激しく、オフェンス力を維持できるか怪しいのですが、これでオフェンスの数字落ちるようだと「やっぱヴァミールでないと」と言われてしまうのがエドワーズHCにとって辛いところです。かといって、守りだけで勝てるほどは急に守備も強くならないでしょう。タレントはそれなりに揃えてきてるのですが、なにせチーム自体に守りの文化がありませんから。MINなどと同じです。最悪、攻守とも中途半端、これといった見所もなく何となく負けを重ねるようなことに。
    • OLの弱体化とディフェンスの強化、HCの交代と、どの程度作用するか分かりにくい部分での戦力変動が大きく、ここも読み辛いチーム。突出したものはないけど安定感はあるQBトレント・グリーンとエドワーズHCの組み合わせは相性良さそうで、そう大崩れはしないはず。と思ったら、そのグリーンは開幕戦で脳震盪だし。あいかわらずエドワーズのQBの健康運はすごいことになってます。

4.OAKレイダーズ (昨季4勝12敗→今季予想5勝11敗)

  • Last Season:WRランディ・モス、RBラモント・ジョーダンとオフェンスで大型補強を敢行、台風の目になるかと思われたものの、いざ開幕してみるとあっという間に温帯低気圧に。緩みきった規律はいかんともしがたく、落ちるところまで落ちたと思われた前年より更に勝ち星を落とすという悲惨な結果に。当然、ノーヴ・ターナーHCはクビ。
  • Best:前年は大型補強をしたオフェンスですが、今オフはQBをケリー・コリンズからデリック・ブルックスに入れ替えるという、補強…?という程度の動きのみ。期待できる要素というと、リーグ最凶WRランディ・モスがまだポテンシャルを完全に発揮しきっていないということくらい。昨季はケガもあってギリギリ1000yを突破した程度、あと軽く500yは上積みする余地はあります。昨季の第2WRジェリー・ポーターがアート・シェル新HCに干されてるらしいので、プラス500yでも足りないくらいかもしれないですが。
     一方、ディフェンスの方はポジティブな要素もないではない。補強したDEランス・ジョンストン、CBタイロン・プールと大物とは言えないけどそれなりのベテランたち、ドラ1新人Sマイケル・ハフといったところが期待通り、では昨季27位の守備がそう改善しそうにはないので、期待以上の活躍見せれば何とか。
  • Worst:今季のOAKはパワーラン&ロングパスというクラシックスタイルのオフェンスの復活を目指してるらしいですが、それに適合した人材はWRモスのみ。前年、NYJの2番手RBから先発に迎えられたRBラモント・ジョーダンは1000y突破するなど頑張ったものの、平均yは前年比マイナス1.4yと大きく数字を落として4yを割り込み、やっぱり2番手の器でしかなかった様子。だから言ったのに。QBも、身体能力も心臓もカルペッパさんを一回り小さくした感じのブルックスさんでは、モスのポテンシャルなど引き出せるわけもない。悪童としての潜在能力だけ存分に引き出して、サイドラインで罵倒されて泣かされて終わりです。そして何よりOLがどうしようもなくかっぱえびせんで、パワーランを出す穴もロングパスを投げる時間も作れそうもないのがどうしようもない。ブルックスがあっさり壊れて(身体的に壊れるのと精神的に壊れるのとどっちが早いかは分かりませんが)、またトゥイアソトッポロピーポとかなんとかいう名前の控えQBが出てくることになる気がします。
    • 開幕戦でのダメっぷりを見ると、とても5勝もしそうにない気がしてきてます。4Qには早くもブルックスさんは降ろされ、トゥイアソトッポジージョではなくアンドリュー・ウォルターとかいうQB出てきてましたし。TENなどのように、一度高給取りのベテランを根こそぎぶった切るくらいのことしないと、いつまでたっても立ち直れないんではないでしょうか。

1.DENブロンコス(11-5)
2.SDチャージャーズ(10-6)
3.KCチーフス(8-8)
4.OAKレイダーズ(5-11)