ディヴィジョナルプレイオフ。

  • IND@BAL

 紙一重を完璧な集中力で凌ぎまくるディフェンスと、完璧な集中力で仕事を果たすキッカーたち。ギリギリの均衡が崩れそうで崩れない、なんとも重厚な試合。これぞプレイオフです。実は、前日に試合結果を知ってしまってて(Yahooでサッカーの移籍情報チェックしようと思ったら…、痛恨でした)、ガックリしながら見始めたのですが。ギリギリのテンション保たれた試合に引き込まれて、そんなガックリ感もどこか行きました。まあ、試合後のインタビュウで見てはいけないものを見てしまって、またもの凄いガックリしたんですけど。次のラウンドは○○が待ってるとか何とか。あああ。
 しかし、なぜINDは、ペイトン・マニングは勝てたのか。ワイルドカードの時にもちらっと書きましたが、マニングが以前のようにオーディブルを濫用しなったのが大きいんではないかという気がします。この試合でもそれなりに使ってはいますけど、かつてのようなヒステリックさ(ちょっとでも相手守備に気に入らないところあるとプレイ変えようとするような)というのはだいぶ薄れてました。これまでのマニング独裁体制下では、マニング個人の頭脳vs相手チームという構図になって、最終的にビル・ベリチックやディック・ルボウといった鬼才に、マニングの頭がパンクさせられてドボンという負け方を繰り返してきたわけですが。この試合では、チームvsチームという、当たり前の戦いをしていたように見えました。序盤に、早いスナップからポンポンプレイ始めたりしたのも、チームとしての作戦でしょうし。
 で、チームvsチームとなると、独裁体制下ほどのキラメキによる爆発というのは生まれにくくなりますが、その代わりにハリソン、ウェインというリーグ屈指の両翼に、アダイ、ローズとそれなりのRB2人、その全てが抑えられても飛び出てくるヒゲのTE、そして全てを支える堅実なOLという、オフェンス全てのポジションにタレントを揃える「厚み」が活きてきます。BALとしても非常に厚みのある守備でよく対抗したのですけど。
 そして、ここにきて俄然輝きを増してきた、クラッチャー、アダム・ヴィナティエリの存在。今さらながら、なんでNEは手放しましたか。プレッシャかかるプレイオフ、しかもアウェイにおいても、当然のように50y前後のFGを決めるこの男。この勝負の鬼が控えてるからこそ、マニングもヒステリィを収めたんでしょう。これで待ってるのがヴァンダージャットだったら、勝負託す気になれませんもの。

  • PHI@NO

 総合力でじわじわロープに詰めようとするNOに、ビッグパンチ一発でリング中央まで押し返すPHIという、↑の試合とは全く違ったバランスの取れ方をしたシーソーゲーム。これも見応えありました。NOのDB陣のうっかりぶりはちょっとどうかと思いましたけど。あんな振りのデカいパンチ、そんなに何発も貰ってはいけません。
 しかし、レジー・ブッシュの華のありようは異常。立ち上がりに、ハンパじゃないハードヒット喰らってグッタリした時は、これはプレイオフの洗礼浴びるかと思ったんですが。あのヒザがどうにかなりそうなカットバックのキレは凄い。実際は、デュース・マカリスターの方が重要な役割果たしてたとは思うんですけど。いかんせんマカリスターは華がない。
 PHIは、これが連勝の勢いというやつなのか、なかなかしぶといところ見せましたがあと一歩届かず。頼みの大黒柱ウエストブルックの不振が響きましたか。一度、65yTDというのはありましたけど、それ以外では立ち上がりから徹底マーク受けてランは封殺、得意のパスレシーヴでもらしからぬ落球連発。生命線のジャブが機能しなかったせいで、コンビネーションも何もなくなって、ビッグパンチ一発頼みとなってしまったという印象です。意外とそれが当たって善戦になったりしたわけですが。ただ、これだとどうしても時間支配などは出来ませんから。接戦ではあったものの、じわじわ消耗していって最後勝ちきれずという結果は、必然だった気もします。