Week1:IND26-21NYG 実況:黒氏アナ、解説:河口正史

 兄と弟のおでこボウル。両おでこのQBとしての力量はともかく、チームとしては力が接近していて、なかなかの好ゲーム。だったんですが、NYGが繰り返す反則のおかげで締まらない終わり方になってました。気の毒な判定もありましたが、しかし残り17秒でスパイクしようとしたところでフォルススタート取られて10秒差っ引かれたのには白けました。こんなことやってるようでは今季もやっぱりプレイオフ1回戦負けですか。

 あいかわらず相手がちょっとでも引いて守ろうとすれば易々1stダウン拾ってみせる凄みを見せる場面もありましたが、むしろ相手のディフェンスが見えてないかのような、あわやINTのパスが何度もあったことの方が心配なような、別に知ったことでもないような。地上戦でとてつもなく大きなハンデを負いながらも、何とか勝って兄の威厳を保ったのはさすがMVPというところ。でも試合後には「弟とは今でも全然仲良し」だとか言ってましたが、これ負けてたら確実に兄弟の仲に亀裂入ってたと思う。

  • ジョセフ・アダイ(IND/RB)

 今年のドラ1新人RB。エジェリン・ジェイムズに代わって先発昇格したRBドミニク・ローズがあまりに頼りないこともあって、いきなりかなり出番貰ってましたが、この試合見た限りではいささか小粒な印象。先発に強力なパワーランナでもいればチェンジ・オブ・ペースで光りそうな感じですが、あいにくローズもスピード型の非力なタイプですし。エジェリンもゴール前の決定力というのはある方ではなかったですが、今年はランでTD取るのはなるべく諦めた方がいいかも。

  • ダラス・クラーク(IND/TE)

 チーム最初のTDに、勝負を決定付ける1stダウン更新に。このヒゲはたまに出てきたと思ったら、対戦相手を絶望させるような重要な仕事をする、実に嫌らしい存在。見てる方としては「そこは絶対クラーク気をつけないとダメだろ」と思うんですが。マークしようにも他にマーヴィン・ハリソンもレジー・ウェインもブランドン・ストークリーもいてなかなか手が回らないことをいいことに、この日も悪逆非道の振る舞いを尽くしてました。

  • アダム・ヴィナティエリ(IND/K)

 INDに移ろうが、当然のようにFG4回蹴って4回成功。特に前半終了間際の48yFGを決めたのは大きかった。直前のプレイで、パス投げたそうなマニング兄をトニー・ダンジーHCが諭して、少しでも前に進んでおこうと固くランプレイを選択したものの全然進まず、マニング不貞腐れ気味という、嫌な空気漂っていた状況。これがヴァンダージャットなら、間違いなく更に場を険悪にさせるようなFG失敗してたはずですから。

  • ニック・ハーパー(IND/CB)

 全体的にパッとしなかったIND守備の中で、良くも悪くも唯一目立ってた選手。
 

  • ドワイト・フリーニー(IND/DE)

 INDが誇る怪物パスラッシャですが、この日はNYGのLTルーク・ペティグーに完敗。フリーニーのラッシュが効かないと、ひたすら速いけど軽い選手ばかり集められたIND守備というのは普通にズルズルやられます。特に、NYGのように強力なランと長身のレシーバという組み合わせには実に脆そう。相手が馬鹿みたいに反則しなければ、40点くらい取られてもおかしくなかったです。

  • INDのカバーチーム

 非常に集中を感じる集まりぶりでとても良かった。こういうところをしっかり作りこむのがトニー・ダンジーのいいところ。スペシャルチームが締まってるチームはそう簡単に負けないです。

  • イライ・マニング(NYG/QB)

 細かく守備の穴を見つけてプチプチつっつく兄に対して、弟は一発に頼る傾向が強いように見えます。キャリアの差によるものなのか、相棒のエースWRが兄はかのマーヴィン・ハリソンだけど弟はあのプラクシコ・バレスだからなのかは知りませんが。

  • ラクシコ・バレス(NYG/WR)

 4回キャッチで80y、平均20yというさすがのビッグプレイ製造機ぶり。前半見せたワンハンドキャッチは、全力疾走すれば余裕でキャッチできるところを、あえてちょっと緩めておいて派手に魅せるという、新庄剛志ばりのプレイに見えました。

  • ジェレミー・ショッキー(NYG/TE)

 こちらは直前のプレイで足痛そうにしてたと思ったら、次のプレイでは普通にダッシュしてTD決めるという、エメルソンばりのトリックスターぶりを披露。やっぱりどうなんでしょう、こういう曲者揃いというのは若手QBの育成という面で。

  • ブランドン・ジェイコブズ(NYG/RB)

 193㎝と、RBにしては珍しいやたら背の高いパワー型ランナ。なかなか果敢で、体の強さをいかした突進が活きの良い。小柄でキレ味勝負のチキ・バーバーとの凸凹コンビは、体の幅の差で幻惑したロン・デインとの"サンダー&ライトニング"とはまた微妙に違った、なかなか面白いコンビネーション。名づけるなら、"レイザー&ハチェット"とかそんな感じか。