(終)NFC西地区。

 結局、今年もWeek3までずれ込んでしまいましたプレビュウ。去年よりは2日早く終わったのでよしとします。その間にアレキザンダが骨折ったとか、クリス・シムズが脾臓破裂したとか、ARIは次から早くもライナートにスイッチするかもとか色々あったようですが、一応、プレビュウですのでここではスルーしてます。

1.SEAシーホークス (昨季13勝3敗→今季予想11勝5敗、地区優勝)

  • Last Season:RBショーン・アレキザンダのランとQBマット・ハセルベックの正確なショートパス、新人が台頭したディフェンスと噛み合って快進撃。しかし、スーパーボウルでは落球とトリックプレイであえなく散る。
  • Best:LGスティーヴ・ハッチンソンはMINに強奪されたものの、それ以外では戦力に大きな変動なくオフを乗り切れました。一時は放出確実という雰囲気だったMVPRBアレキザンダの引き止めに成功したのは大きいです。アレキザンダを出してRBエジェリン・ジェイムズを取りにいくなどという話もあったみたいですが、それならOLのブロックを完璧に使いこなしているアレキザンダを残した方が得策でしょう。パス攻撃は、WRジョー・ジャレヴィシャスを放出しましたが、仕返しにMINからかっぱらったWRネイト・バールソン、NEから出奔したWRディオン・ブランチを獲得し、WRダレル・ジャクソン、ボビー・イングラムと合わせてそこそこカルテットを結成。ポテンシャルの高さはともかく層の厚さだけならリーグ屈指のWR陣です。バールソン獲得はMINへの嫌がらせ以上の意味はないでしょうが、勝ち方を知ってるブランチの存在はプレイオフに入れば効いてくるかもしれません。元々SEAのレシーバ陣はTEジェレミ・スティーヴンス含めて勝負強さに疑問があり、QBマット・ハセルベックの怒髪が天を衝く前に抜け落ちるような落球も多かっただけに。
     ディフェンスは、2年目の新鋭コンビLBロファ・タトゥープ、リロイ・ヒルのいるところに、ジュリアン・ピータソンを加えたLB陣が充実の布陣。DLも層厚い。
  • Worst:「SB敗退チームは翌年沈む」という近年のジンクスがあるわけですが、「そこそこ」を好む中道派SEAはまさにこのジンクスに打ってつけ。そこそこの成績で落ち着きそうな気がします。元々、落球や反則などが多く、精神的なタフさに欠けるチームですから。
     戦力的には、LGハッチンソンが抜けただけと言いますが、その穴がものすごく響く可能性も。SEAの最大の強みというのは、LTウォルター・ジョーンズとLGハッチンソンという左サイドの壁2枚の堅さによるオフェンスの安定感にあったわけですから。その壁が磐石でないとなると、ただの地味なRBとパッとしない薄ら禿が残るだけということになりかねません。あいかわらず、そこそこの人材ばかり集めてるWRもどうかと思います。
    • 昨季はあれよあれよとSBまで行ったSEAですが、今年は元の「そこそこの強豪」というポジションに戻ったらいいんじゃないかと思います。地区レベルが低いだけに、プレイオフを逃すとは予想しにくいのですが、プレイオフ初戦であっさりコケても全然驚きません。

2.ARIカーディナルス (昨季5勝11敗→今季予想10勝6敗、WC)

  • Last Season:QBカート・ワーナーを迎えて躍進も期待された昨季でしたが、10点差以内で6試合を落とすなど攻守ともあと一歩を踏ん張りきれない勝負弱さが目立った。パス攻撃1位、ラン攻撃32位というアンバランスなオフェンスは、RB、OLがあまりに当てにならないのでパスを投げるしかなかっただけ。
  • Best:昨季はトータル1138y、TDはなんと16試合で2つだけという貧弱極まりなかったラン攻撃の救世主として、過去7年のキャリアのうち4年で1500y以上走っているRBエジェリン・ジェイムズを獲得。昨季までのマーセル・シップだJJ・アーリントンだという無名にもほどがあったRB陣から一気にグレードアップ、昨季の惨状からは脱出確実です。ある程度、ランが計算できるとなれば戦術の幅は広がりますし、昨季はやっても相手ディフェンスにはなかったことにされていたというプレイアクションも効いてきます。WRアンクワン・ボルディン、ラリー・フィッツジェラルドの1400yWRコンビ擁するリーグ1位のパス攻撃は健在ですし、ランの確立でQBワーナーへのプレッシャが減れば得点力大幅アップも期待できそう。ディフェンスは昨季はケガで半分しか出られなかったDEバートランド・ベリーが復帰し、チケ・オキーファと組む看板のDEに、昨季8サックのドSエイドリアン・ウィルソン、DTドネル・ダケットと元気な若手もいるパスラッシュは強み。
  • Worst:QBワーナー、RBエジェリン、WRボルディン、フィッツジェラルドと大駒の充実度はリーグトップクラスなのですが、その働きを支えるべきOLの泥壁っぷりもリーグ屈指。デカイくせに押せない守れないOLでは、RBエジェリンがIND時代のように走れるかは疑わしいですし、このところ1年フルに出れないQBワーナーは今年も失神KOされる危険性高いです。それならそれで、ドラ1新人QBマット・ライナートが出てくることになるのでファンは喜ぶかもしれませんが、泥壁OLのところに新人QBを放り込むとブチッと潰されて、せっかくの素材が傷物にされる可能性があります。ディフェンスは、新人年の昨季はあっという間にシーズンアウトになってたCBアントレル・ロールと、INDから来たチビっ子CBデヴィッド・マクリンを35歳のFSロバート・グリフィスがフォローするという形がかなりおっかない。
    • 欠けていたエースRBも次代を担うスターQBも新スタジアムも揃いました。ディフェンスもスペシャルチームも悪くありません。あとはもうOLが踏ん張れるかだけ。踏ん張れればシンデレラへの階段はすぐそこ。実際に階段昇れるのは、来年以降、QBライナートが一人立ちして足腰しっかりした時という気もしますけど。

3.STLラムズ (昨季6勝10敗→今季予想7勝9敗)

  • Last Season:もともと強くないディフェンスにケガ人出て、Week4からの3試合で126点取られるなど序盤であっさり崩壊。頼みのハイパーオフェンスも、QBマーク・バルジャーがシーズン半ばで壊れ、マイク・マーツHCが病に倒れてからは人並のオフェンスに。後半は2勝6敗と大崩れした。
  • Best:ついにマイク・マーツHCが更迭され、'99年以来続いた黄金狂時代が終焉。スコット・リネハンを新HCに迎えて、ランとパス、攻撃と守備のバランスを考えた常識的なチームに戻るようです。この俗化政策で恩恵を受けそうなのが、RBスティーヴン・ジャクソン。ラン攻撃を軽視どころか試合によっては無視したりしてたマーツの過度に華々しさを追求したハイパーオフェンスでは、レシーブ能力が高くて華のあるRBマーシャル・フォークはともかく、ごくごく普通のRBであるジャクソンにとっては肩身が狭く、力を発揮しづらい環境でした。それでも昨季は1000y走って普通なりに力があるところを見せてます。ランの比重が増える今季は更に数字伸ばしてもおかしくない。ジャクソン以外にも、CARをクビになったRBスティーヴン・デイヴィス、手術のマーシャル・フォークに代わる第3ダウン要員にRBトニー・フィッシャーをこっそり仕入れており、どうやら本気でラン攻撃をやろうとしてるのが伺えます。
     昨季リーグ30位に終わったディフェンスは、入れ替え激しくて未知数ですが、DTラロイ・グロヴァ、LBウィル・ウィザスプーン、Sコーリー・チェイヴァスと新戦力で固められたセンターラインがちゃんと働けばそうヒドイことにはならないはず。
  • Worst:全く無名だったところをマイク・マーツに抜擢されたQBマーク・バルジャーにしろ、トリー・ホルト、アイザック・ブルース、ケヴィン・カーティス、ショーン・マクドナルド、デイン・ルッカーと在庫たっぷりのWR陣にしろ、完全にマーツのハイパーオフェンス用に特化して集められた人材。普通のオフェンスでフルに活用できるかは微妙なところです。これだけの手駒を揃えながら爆発力も爽快感もないオフェンスということになったら、長年のバカオフェンス漬けでロングパス中毒患者になってるであろうSTLファンは禁断症状出て怒り出します。それでも普通のオフェンスやるというなら、このWRは無駄に豊富過ぎます。マーツ時代と訣別するというなら、そのマーツの行ったDETか、微妙WR好きなSEAにでもホルト以外のWRをどんどん売り飛ばして、他のポジションの補強に当てるぐらいのことすればいいのに。
    • ディック・ヴァミールが去ったKCに、マイク・マーツをクビにしたSTL。どちらも金遣いの荒いギャンブル人生から足を洗って、地に足をつけた暮らしを目指すようです。確かにそろそろ潮時という感じもしますので、賢明な判断かもしれませんが、どうせなら完全に破綻するまではギャンブラを貫いて欲しかった。まあ、他人事ですが。

4.SF49ズ (昨季4勝12敗→今季予想3勝13敗)

  • Last Season:マイク・ノーランを新HCに、ドラフト1巡1位でQBアレックス・スミスを指名し、再建に向けての第一歩を踏み出したシーズン。結果、攻撃守備ともリーグ最下位をマーク。まさにゼロからのスタート。
  • Best:昨季は新人ながらQBティム・ラテイがやさぐれたことで早々に出番回ってきたQBアレックス・スミス。1TD11INT、TD率は0.6%、100回パス投げても1回TD取れないという驚異的な数字を叩き出してました。とはいえ、OL、RB、WRと全てのポジションに人がいなかったのだからやむを得ません。今年もRBケヴァン・バーロウ、WRブランドン・ロイドが抜けて、昨年以上に人いないわけですが。2年目RBフランク・ゴア、ドラ1新人TEヴァーノン・デイヴィスが「困ったらとりあえずあの2人にボール持たせとけ」と言われるらい頼れる存在になってくれれば、QBスミスの生き残る可能性も少しは出てきます。
  • Worst:RBバーロウ、WRロイド、LBジュリアン・ピーターソンと数少ないタレントを放出して、目立った補強はGラリー・アレン、WRアントニオ・ブライアントという。目立ってないだろそれ。なんとも財布のひもガチガチな人事。攻守とも強みといえるようなポジションはなく、今年も勝ちに行ける布陣ではないです。勝てなくても、QBスミスが成長して来年以降に繋がるシーズンになればいいという考えでしょうけど、それにしても人がいなさすぎ。ゼロからの再建の際に、その目玉としてドラフト1巡1位で指名したQBをドーンと据えるというのはよくありますが、あまりにも何もない「ゼロ」からだと、たとえそのQBに素質があっても「ゼロ」のチームに染まっていってどうにもならなくなったりします。ここ十年でも、ティム・カウチ、デヴィッド・カーというエキスパンションチーム立ち上げの際の初代ドラフト1巡1位QBがゼロに染まっていきましたが、今のSFもエキスパンションチーム並。スミスも同じ道を辿る可能性ないとはいえません。
    • 焦ってベテランFAに手を出したりせず、若手を中心にじっくり育てながらチーム再建しようという姿勢は悪くありません。ただオフェンスはともかく、ディフェンスはもうちょっとテコ入れしても良い気もしますが。1巡1位でQB指名したのは3年早まったと思います。

1.SEAシーホークス(11−5)
2.ARIカーディナルス(10−6)
3.STLラムズ(7−9)
4.SF49ズ(3−13)