(7)NFC南地区。

 ふう、これで残りあと一つ。

1.ATLファルコンズ (昨季8勝8敗→今季予想12勝4敗、地区優勝)

  • Last Season:マイケル・ヴィックの力であいかわらずリーグ1位をキープしたラン攻撃とマイケル・ヴィックのおかげで一向に進歩しないパス攻撃、そしてそこそこの守備。前半は6勝2敗とプレイオフペースも、後半は2勝6敗、ラストは3連敗と大きく崩れて結局5割止まり。CAR、TBという同地区ライバルに0勝4敗と完敗喫した。
  • Best:何といっても、リーグ22位と意外といまいちだったディフェンスに、DEジョン・エイブラハム、Sロイヤー・ミロイと大物2人を補強したのがデカいです。特にDEエイブラハムは、逆サイドにDEパトリック・カーニーもいて、更にDTながら昨季は二桁サックあげてるロッド・コールマンといるところへの補強。DLのパスラッシュはリーグ最強クラスです。これだけ強力なDLがウワーッと相手QBに襲い掛かれば、他のポジションに多少穴があってももみ消せるというものです。Sミロイも弱いポジションだっただけに良い補強。あとは昨年折角取ったのにケガでろくに働けなかったLBエジャトン・ハートウェルが復活すれば守備はほぼ万全。
     一方、オフェンス。自慢のラン攻撃を支えるのはアレックス・ギブズ仕込みのOLのゾーンブロック。RB TJ・ダケットをトレードで放出したものの、RBダケットは昨季平均3.1yと大きく数字落とし、ゾーンブロックに合ってなさそうだっただけに、この放出はそう痛くないです。こちらはゾーンブロックにピッタリはまって、キャリアハイの1400y超走ったQBウォリック・ダンの出番が増えるならむしろ好都合なくらいです。RBダンはリーグ全体でも最小クラスのRBですが、持ち前のガッツで小さなホールでももの凄い勢いで突進していくので、決定力も案外低くありません。影の薄いパス攻撃の方は、開幕直前で一応エースだった堅実派WRブライアン・フィネランが壊れ、穴埋めにDENで居場所なくなってた一発屋WRアシュリー・レリーをあわてて獲得。フィネラン→レリーというのは普通ならマイナスなのですが、QBマイケル・ヴィックのパスとの「当たればもうけもの」コンビは、組み合わせとしては結構面白いかも。イライ・マニングとプラクシコ・バレスのコンビに近いものを感じます。どうせ誰に投げてもヴィックのパス成功率は上がったりしないんですから、それなら一発の力だけはあるレリーに投げておいたらいいんじゃないかと思います。
  • Worst:↑では適当なこと書いてますが、あいかわらず「走るQB」というより「投げるRB」という風情のQBマイケル・ヴィック率いるパス攻撃は、今年も基本的には期待しない方が無難です。雑誌のプレビュウなど読むとQBヴィックについて「これまで以上に守備に対する読み、パスの正確さが向上した」とか書いてありますが、同じようなこと毎年言ってる気がします。つまり、今年もたいして変わらないんでしょう。不調だったとはいえ昨季も8TD決めていたRBダケットがいなくなって、やはり心配なのはショートヤードを誰で取りに行くのかということ。普通にRBダンで行けば特に問題ないと思うんですが、これをQBヴィックの足で軽く取りに行こうとして、ハードヒット受けてKOされるとかなると最悪です。
     ディフェンスでは、DLがパスラッシュに特化した編成になってるのでランストップには不安も。あと、CBディアンジェロ・ホールはともかくそれ以下のCBもかなり手薄。リターナとしては相手にとって危険な存在のアレン・ロッサムが今年もCBとして出てくるようだと、チームにとって危険な存在となります。頼みのパスラッシュが上手く機能しないような相手だと、もう火だるまです。

2.CARパンサーズ (昨季11勝5敗→今季予想8勝8敗)

  • Last Season:2年前にスーパーボウルまで行った堅守と勝負強い攻撃は健在。エースだったWRムシン・ムハマドが移籍して心配されたパス攻撃も、QBジェイク・デロウムは新エースWRスティーヴ・スミスに投げまくることで無理やりどうにかした。プレイオフでは、WCからNYG、CHIと順調に倒すも、ディヴィジョン決勝で自慢のRB陣が揃って死亡しデロウム錯乱、SEAに惨敗。
  • Best:WRスティーヴ・スミスがロングパスにショートパスにリバースにと孤軍奮闘にもほどがあったレシーバ陣に、T.OにDALを追い出されたWRキーション・ジョンソンを転がり込んできたのは僥倖。キーションにかつての爆発力はないですが、サイズがあってショートパスで体を張れます。爆発的なスピードのあるスミスとサイズのあるキーションというのはコンビとしても良さそうで、上手く使い分ければ破壊力と安定感を兼ね備えた空中戦を展開できそうです。何より、いつスミスが倒れるかとドキドキしなくて済みます。昨季、プレイオフで3人が次々倒れるという悪夢を見たRBは、ケガがちなベテランRBスティーヴン・デイヴィスをカットしてケガがちな若手RBデション・フォスターがエース昇格。ドラ1でRBディアンジェロ・ウィリアムズを保険に取っておいたのは賢明です。リーグ3位のディフェンスは、今年も強力DL、CBが健在。あいかわらずLB、Sは並かそれ以下程度ですが、DLが踏ん張ればなんとかなるレベル。
  • Worst:RBスティーヴン・デイヴィスを放出した時に「来季はない」と書いたCAR。膝がボロボロでとても働ける状態ではないデイヴィスの解雇はやむをえないのですが、新エースRBフォスターというのはどうですか。若いわりにケガが多いのもあれですが、ビッグゲインもあるけどロスもある、才気はあるけど信頼感に乏しいというタイプのフォスターは、1年通して先発を任せられる器ではないと見てます。あくまでこのチームは堅く守って、ランで堅く進むというのが本来の姿。フォスターにしろ新人にしろ堅さが足りないのです。もしかしたらフォスターが壊れて、代わりにRBニック・ゴーイングスが堅く走り出す可能性もなきにしもあらずですが。また、キーション加入で手駒が増えたパス攻撃ですが、ギャンブラQBジェイク・デロウムの場合、的が増えることでどれほど攻撃力が上がるかは微妙なところ。ここと決めたらその一点だけを狙って、一か八かでパスを投げ込む度胸というのがデロウムの持ち味ですから。Bestで「上手く使い分ければ」と書きましたけど、器用に投げ分けるデロウムなど想像できません。むしろ、的が増えると気が散るだけなんじゃないかと心配です。
    • 今年は前評判がSEAなどよりも高く本命扱いのCAR。私も好きなチームの一つですし、戦力的にも申し分ない。が、スーパーボウルに進出した3年前から○×○というリズムできてるのを読めば、今年は×な流れの気がしてしょうがないのです。QBデロウムは人気薄の時に狙うと激走してくれる穴男ですが、完成度が高いタイプではなく、ブチッと切れる気性の荒さももってるだけに、一番人気を信用して有り金つっ込むのは危ないです。

3.TBバッカニアーズ (昨季11勝5敗→今季予想7勝9敗)

  • Last Season:ディフェンスはあいかわらずの強さでリーグ1位。さらに新人RBカーネル"キャデラック"ウィリアムズがいきなり100yラッシュ連発の活躍でオフェンスを牽引。例のごとく壊れたQBブライアン・グリーシーをリリーフしたQBクリス・シムズもまずまずのプレイで、終盤5試合を4勝1敗でまとめて見事地区優勝。しかし、プレイオフではオフェンスの主役2人が若さを見せてWAS守備の前に沈黙。
  • Best:良い意味で変化が乏しい。今オフの動きを見ても、新戦力として期待を大してされてなかったらしいデヴィッド・ボストンは開幕すら迎えられずにクビにしてますし、ドラフトも上位では1年目から大活躍とかしづらいOLを地味に集めてますし。プラス材料というと、今年は開幕から先発固定のQBクリス・シムズの成長分ですか。昨年は、パス成功率60%超、TD数>INT数と、なかなか賢いところも見せてますから、プレイオフでの苦い経験も糧にできるんではないでしょか。昨季11試合でTDパス10というのはいささか少ない(回数投げてないPITのロスリスバーガーでも17TD)ですが、元々守備のチームですから、致命的な問題ではありません。むしろTDを増やそうとするよりも、2.2%というペイトン・マニング並だったINT率の低さを維持することの方が大事です。
  • Worst:悪い意味で変化が乏しい。特に4年前のスーパーボウル制覇時から主軸がほとんどそのままのディフェンスは、強力といっても先発の半数以上が30歳超え。リーグ1位の守備といっても往年の迫力、怖さはなくなりつつある印象で、控えの層も薄いので(サラリーキャップ厳しいNFLで層が厚いチームなんてほとんどないのですが)、そろそろほころびが出始めてもおかしくありません。オフェンスで心配なのは、RBキャデラックの2年目のジンクス。相手には当然研究されてきますし、現役続行したFBマイク・オルストットも衰え激しくて当てにはできません。ランが出ず、安定志向のQBシムズが危険なロングパスを強いられるような展開は避けたいところです。
    • 正直あまり書きたいことがないTB。書くことがないから3位にしたようなものです。変化のなさというのは成熟に繋がるので悪いことではないんですが、このチームのディフェンスの場合、既に成熟しきっていて、あとは腐っていくだけという段階まで来ちゃってると思います。腐りかけが美味しいという話もありますし、今季はまだ十分鮮度もつかもしれませんが。あまり推す気にはなれません。

4.NOセインツ (昨季3勝13敗→今季予想7勝9敗)

  • Last Season:ハリケーンカトリーナに我が家を吹っ飛ばされる悲劇に見舞われたNO。「被災者のためにも!」と頑張れる元気があった開幕当初は2勝2敗と踏ん張りましたが、その後はホームアドバンテージのなさがずしっとのしかかり。Week5以降で1勝11敗と悲惨な結果になったのもやむをえません。
  • Best:スーパードームの改修も無事間に合い、今年はちゃんと「ホーム」で戦えます。それだけでも何勝か上積みできましょう。さらに復興に向けて、ウジウジしたQBアーロン・ブルックスをスパッと切り飛ばして、別に悪いことしてないのにSDに捨てられたQBドリュー・ブリーズ、1巡1位指名権持ってたHOUがスキップしてくれた今ドラフトNo.1RBレジー・ブッシュと、核になれる人材を幸運な形で獲得。RBとTEへ投げ分けるショートパスが生命線のQBブリーズを活かすには、TEに人材を欠いてるのが痛いですが、その分、RBにはブッシュに現エースのデュース・マカリスタとパス捕れる万能型を揃えてます。ブリーズはこの2人にひたすら投げてたらいいです。SD時代にはトムリンソン一人に100回パス通したことありますから、今年は合わせて140キャッチくらいで。豪華過ぎておそらく今年限りであろうこのRBタンデムをフルに活かせれば、強豪揃いのNFC南でも台風の目(縁起悪いか)になりえます。
  • Worst:大黒柱になれる素材は持ってきたものの、土台はまだグラグラして固められてない状態。柱立てようにも根元から倒れてしまう危険性があります。まあ、それでも頼れる柱が来ただけ希望があるオフェンスに比べて、昨季失点28位だったディフェンスは後回しにされた感じでパッとしません。一応、補強はしましたが、LBスコット・フジタやらLBマーク・シモノーやらSオマー・スタウトマイヤやら、廃品回収か残飯処理かといった風情で、戦力アップとは言いがたいものがあります。頼みの綱CBマイク・マッケンジと1,2年目の若手SによるDB陣がかなり踏ん張らないと、ズブズブ沈んでいくことになりそうです。
    • カトリーナで街ごと沈んだ昨季の成績は参考外なので、本当のところどの程度の戦力なのかいまいち分かりにくいNO。このチームの分かりにくさは前からそうなのですが。試合もほとんどNHKで放送されませんし、いまいちキャラが把握できないのです。かなり勢いに左右されそうな感じもするので、久しぶりのホーム戦となるWeek3ATL戦がカギか。

1.ATLファルコンズ(12−4)
2.CARパンサーズ(8−8)
3.TBバッカニアーズ(7−9)
4.NOセインツ(7−9)