(5)NFC東地区。

1.NYジャイアンツ (昨季11勝5敗→今季予想11勝5敗、地区優勝)

  • Last Season:QBイライ・マニング弟を先発に固定して臨んだシーズン。そのQBマニング弟の不安定だけど爆発力はあるプレイぶりと、RBチキ・バーバー弟の安定して爆発した活躍ぶりでオフェンス好調、同地区ライバルがつまづいたこともあって地区優勝果たす。が、プレイオフではマニング弟の不安定さばかりが出てCAR相手に完封負けの屈辱。
  • Best:昨季リーグ4位のオフェンスは変動なし。3年目のQBマニング弟の成長分だけ上積み見込める計算です。昨季のマニング弟は、TDこそ24と稼いだものの、17INT、50%をちょい超えた程度のパス成功率というのは、QB一家に生まれたエリートとはとても思えない山師っぷり。安定性の面で改善の余地は大いにあります。まあ、WRプラクシコ・バレス、TEジェレミー・ショッキーと爆発力だけならリーグ屈指のレシーバ陣を揃えてますから、このまま35TD25INTとか、そういうはっちゃけた方向に突き進んでも面白そうではありますが。
     オフェンスで動かなかった分、リーグ24位に終わったディフェンスの方は大テコ入れ。層の薄かったLBに今オフ市場の目玉商品ラヴァ・アーリントンを補強。ずーっとパッとしないままのDB陣も、CBウィル・アレン、Sブレント・アレキザンダを出して、CBサム・マディソン、RW・マクォーターズ、Sウィル・デンプスを獲得と総とっかえ。DEマイケル・ストレイハン、オシ・ユメニオラとエグいパスラッシャを揃えてたわりに、これまではCB陣が地味過ぎて全然INT数が伸びませんでしたが、この大テコ入れでディフェンスのビッグプレイ量産に期待したいところ。
  • Worst:昨季は、シーズン終盤にかけて急失速したマニング弟。プレイオフでも脆さを見せて惨敗を喫するなど、だてにマニング一家のDNAを受け継いでないところを証明してしまい、精神的なタフさに疑問が残ります。レギュラシーズンでしか発揮できない爆発力など、犬にでも食わせておけばいい。あと心配なのがRBチキ・バーバー弟の金属疲労。ここ2年でランパス合わせて実に4500yという法律に違反してそうな働きぶり。SDのトムリンソンで3600y、SEAのアレクザンダですら3800yほどですから、4500というのはもう尋常ではありません。全体的にバカっぽいオフェンス陣の中で、唯一安定感のあるオプションであるバーバー弟が壊れるようなことあると、一気にアーアアーとヨダレ垂らしだすこと必至です。
    • 昨季の強みだったオフェンスはそのままに、ディフェンスを底上げという真っ当なチーム強化ぶり。昨季を下回る要素はないように思えます。ケガ人もしくは謀反人が出なければ。こういう順調そうな時に限って、何か起きそうな気もするんですが。RBバーバーの金属疲労については、2番手RBブランドン・ジェイコブズの頑張り次第。

2.PHIイーグルス (昨季6勝10敗→今季予想9勝7敗、WC)

  • Last Season:スーパーボウル敗退チームは翌年沈むという、ジンクスそのままに大沈没。T.Oの反乱、QBドノヴァン・マクナブの故障でチームは崩壊。マクナブに代わるQBマイク・マクマーン、コイ・デトマーが2人合わせて5TD、11INTではどうにもなりませんでした。
  • Best:かなり痛みを伴いましたが、WRテレル・オーウェンスの乱を鎮圧。ついでにヘタレWRトッド・ピンクストンも放出して、再びQBドノヴァン・マクナブの一頭体制で巻き返しを図ります。昨季の沈没ぶりがあまりに派手だったのですっかり忘れられてますが、一昨年のNFC覇者ですから。地力はまだ残ってるはず。T.Oの抜けた穴は痛いですが、チームの規律面ではむしろ大幅プラスです。そもそもT.Oが来る前までも、ピンクストンやらジェイムズ・スラッシュやらという小粒なWR陣と、Recieving Back略してRBのブライアン・ウエストブルックへの投げ分けで、3年連続で(負けたとはいえ)NFC決勝までなら行ってたわけですし。オーウェンスにいじめられてイジけていたQBマクナブが、いじめっ子が転校したことで元気を取り戻せば、チームはまとまっていけます。面子が残ってたわりに昨季リーグ23位とダラダラしていたディフェンスも、規律次第で立ち直れます。
  • Worst:昨季の低迷が、反乱とケガのせいだけなら立て直せますが、主力の衰えがきてるとかならこのままズルズル落ちていくだけです。特にQBマクナブは、まだ29歳と老け込む年ではないのですが、ここ数年は痛むのを怖がって腰の引けたイジメられっ子ぶりが目に付き、どうも若々しさが感じられません。マクナブとともにオフェンスを支えるRBウエストブルックもケガがち。WR陣は果てしなくショボいだけに、この両輪のどちらにガタがくるとオフェンスは全く前に進まなくなる可能性高いです。ディフェンスでも主力中の主力、Sブライアン・ドーキンス32歳、DEジェヴォン・カース30歳は下降線。あと齢65歳のジム・ジョンソンDCの耄碌も心配。
    • '00年から'04年までは5年連続11勝以上していた元常勝チームですが、荒みきった1年を経て、勝ち方を思い出せるかどうか。まあ、たかだか2年前のことだから問題ないでしょう。と思ってたら、Week2ではDEカースが膝をやってシーズンエンドの挙句、17点差を引っくり返されるという憤死ものの敗戦喫したとのこと。それはそれは。

3.WASレッドスキンズ (昨季10勝6敗→今季予想7勝9敗)

  • Last Season:強力ディフェンスとまずまず堅いオフェンスで、ラスト5連勝でプレイオフ滑り込み。プレイオフではオフェンスは全く進んでませんでしたが、ディフェンスがリーグ9位という数字以上のものを見せて初戦突破。続く対SEAも守備の力だけで善戦してみせた。
  • Best:WRサンタナ・モス頼みだったパス攻撃に、サーカスWRアントワン・ランドルエル、ピエロWRブランドン・ロイドという妙に狙った補強。WRの層が厚くなったことで、試合の流れとか関係なくTDが飛び出したりするQBマーク・ブルネル→WRモスのホットラインがより威力増すようなら脅威です。大エースRBクリントン・ポーティスがいるラン攻撃には、白兵戦専用ビア樽、TJ・ダケットが加入。力仕事をダケットに任せれば、ポーティスの消耗抑えられます。昨プレイオフではびっくりするほど堅かったディフェンスは、LBラヴァ・アーリントンが抜けたものの、Sアダム・アーチュレタ、CBケニー・ライト、マイク・ランフ、LBジェフ・ポージー、DEアンドレ・カーターとそこそこの選手を一杯獲得。攻守とも全体的に層の厚さアップ。昨季終盤見せた勢いが続けば、地区優勝も十分狙えます。
  • Worst:これまで大物にドカンと大金つぎこんできた成金主義のチームにしては珍しく、今オフはちょこちょこ小金を使って数を集める貧乏くさい作戦に出たWAS。おかげで確かに層は厚くなってるのですが、先発の布陣を見ても戦力の最大値がアップしてるように見えないのが問題です。まだ奥がありそうなWRロイドはともかく、WRランドルエルなどはPITではトリックプレイ要員として重宝されていましたが、WRとしては平均レベルにすぎません。小柄ですばしっこさが持ち味という、エースのモスとかぶってるタイプを連れてくるのもどうかと思います。昨季獲ったデヴィッド・パッテンもハズレ気味ですが、こういうよそで2,3番手として活躍してたWRを先発待遇で引っ張ってくるような補強は全く評価できません。アーチュレタやらランフやらディフェンスの補強も微妙すぎる。結局、オフェンスは今年もQBブルネル→WRモスのラインとRBポーティスのラン次第になりそうな気がしますが、ブルネルはプレイオフでその衰えぶりを全くごまかせてなかったですし、ポーティスはプレシーズンで故障して体調不十分。むしろ、最大値は下がってるんじゃないかという気もします。
    • 昨季のプレイオフでの戦いぶりをどう見るかでガラッと評価変わりそうなチーム。私は、ディフェンスの堅さに感心するよりも、オフェンスの進まなさに呆れた気持ちの方が強かったので、評価厳しめです。QBがおっさんもおっさんのマーク・ブルネルということでシンデレラっぽさもないですし。ディフェンスがあの集中力を1シーズン維持できるなら、守りだけで2桁勝てるでしょうけど。

4.DALカウボーイズ (昨季9勝7敗→今季予想6勝10敗)

  • Last Season:ビル・パーセルズ体制3年目となった昨季は、QBドリュー・ブレッドソーなどさらに元弟子たちをかき集めて必勝体制で臨む。しかし、攻撃13位、守備10位と数字は十分なものの、決めてほしいところをことごとく外し続けたへぼキッカーども、あいかわらず持ちすぎてサックをドカドカくらうQBブレッドソー、優秀だけどたまに一発喰らってそれが致命傷になるディフェンスと、詰めのところで噛み合わず、プレイオフ逃す。
  • Best:なんといっても大きいのがWRテレル・オーウェンスの獲得。よりによって同地区で謀反起こした人間を引き取るという、火中の栗を素手で掴んでキャッチボールするような暴挙ですが、キーション・ジョンソンも飼いならしてきたパーセルズがうまくコントロールできるようなら見返りはデカいです。T.O以外にもスピードスターWRテリー・グレン、万能TEジェイソン・ウィテンと揃っているレシーバ陣は超強力。PHIの頃と違って、T.Oだけ警戒してればいいというわけにはいきませんから、T.Oのマークもいくらか緩みそう。それでストレスが軽減されれば、謀反のリスクも抑えられます。
     また、大穴だったキッカーには、こちらもINDの謀反人マイク・ヴァンダージャットを捕獲。レギュラシーズンなら非常に高い成功率誇るヴァンダージャットは、プレイオフ進出に向けては最高の補強といえないこともないです。
  • Worst:問題となりそうなのは、やはりチームの和。このチームはパーセルズが来てからコネで呼び寄せられた選手が多く、団結力という点では元々疑問があるというのに、必ず爆発する不発弾オーウェンスを招き入れるのは危険過ぎます。新天地だからと心を入れ替えるような殊勝さはカケラもないオーウェンスは、足が痛いとキャンプをサボり、さらにミーティングに寝坊して早速罰金100万円の刑を科されるなど既に大暴れ。QBブレッドソーが今年も持ち過ぎてサック浴びまくるようだと、「さっさと俺にパスしないからだこのキューピー人形」と噛み付きだすことでしょう。今のところパーセルズはこれといったリアクション見せていませんが、いくら勝利のために有用な人材だからといって、あのパーセルズがシーズン最後まで我慢できるかはかなり怪しい。シーズン途中で首斬るくらいなら、最初からいない方がましなのですが。
    • あいかわらず目先の勝ちばかり求める見苦しい補強方針で、すっかり悪役金満チームの風情を漂わせるDAL。それにしても、T.Oにまで手を出すとは近眼にもほどがあります。そもそも、SF時代のオーウェンスがDALのトレードマークの星の上でTDセレブレーションやったことをDALファンは許してるんでしょうか。ハイレベルなNFC東においても、戦力的には上位のものがありますが、それはあくまでもT.O爆弾が炸裂しなかったらの話。最下位に予想してるということは、つまりそう思ってるということです。

1.NYジャイアンツ(11-5)
2.PHIイーグルス(9-7)
3.WASレッドスキンズ(7-9)
4.DALカウボーイズ(6-10)