(2)AFC北地区

1.BALレイヴンズ (昨季6勝10敗→今季予想15勝1敗、地区優勝)

  • Last Season:WRデリック・メイソンの補強、ジム・ファッセルOCの招聘でパス攻撃の改善が期待されたものの、そもそもQBカイル・ボウラーに改善の余地がなかったのでまたも不発。RBジャマール・ルイスはシーズンオフに狭い牢屋暮らしをしてたせいかキレがなく、守備はLBレイ・ルイス、Sエド・リードが負傷離脱。主力がことごとく低調だったのが響いたシーズン。
  • Best:何といってもかつてのMVP、QBスティーヴ・マクネアの補強。ようやくカイル・ボウラーに見切りをつけたのが大きいと言った方がいいかもしれませんけど。ここ2年数字を落とし、年も年だけに限界と見られてTENから切られたマクネアですが。TEN黄金時代をともに戦ってきた仲間が次々チームを去り、代わりに第1WRドリュー・ベネット、エースRBクリス・ブラウンなどというしょぼい手駒渡されて、数字を落とさないQBなどいません。BALには、TENでマクネアと抜群の相性見せていたWRデリック・メイソン、RBジャマール・ルイスとマイク・アンダーソンと同じようなのが2人もいるパワー型RB、そしてTEへのパスを好むマクネアには絶好の的となりそうなTEトッド・ヒープがいます。WRメイソン、RBエディ・ジョージ、TEフランク・ワイチェックのいたTEN黄金時代を思わせる、QBがボウラー以外なら誰でも勝てそうなくらい充実の手駒の揃いっぷり。2番手WR以降がやや手薄ではありますが、TENの時もケヴィン・ダイソンとかでしたし。これなら普通に活躍します。昨季数字落としたといっても、パス成功率は60%超、INT率にいたっては2.3%で、自分で崩れたわけではありませんから。シーズン始まってみないと2000y走るか1000yも走らないか分からないRBルイスの保険を、チェスター・テイラーからDENから拾ったアンダーソンにグレードアップしたのも好判断。ビッグゲインは少なそうだけど、やたらショートヤードに強そうなRBユニットになってます。
     元々、売りの凶悪ディフェンスは、昨季、2枚看板のLBレイ・ルイス、Sエド・リードがそれぞれ6、10試合の出場にとどまったにも関わらず、リーグ5位という数字を残しており、2人が万全なら当然それ以上。デビュー3年で30サックのDEテレル・サッグスの逆サイドに、DENからDEトレヴァー・プライスを持ってきたのも凶悪さを増す適切な補強。凶悪な守備に、堅実さと決定力の高さを備えた攻撃で快進撃を。
  • Worst:長年、満身創痍で戦ってきたマクネアが、TENフロントの冷徹な見切り通りにボロボロの体だった場合。今年も負傷でシーズン通して出れないようなことになると、控えはボウラーしかいませんので、当然また明日が見えないオフェンスに。マクネアの健康のため、無茶スクランブルをさせないよう、OLがどれだけ守れるかがカギになりそう。BALのOLはLTジョナサン・オグデン、LGエドウィン・ムリターロと名前の通った選手はいるんですが、ここ2年のRBジャマール・ルイスの低調ぶり、ボウラーの伸び悩みっぷりからしても、かなり泥壁な印象。オグデンなどもINDのDEドワイト・フリーニーに全く敵わなくなってますし。OLが泥壁なら、誰がQBでも潰れますし、何人RB揃えても走れません。
    • 昨季のスーパーボウル王者PIT、地区覇者CINの揃うAFC北地区ですが、今年、一押しなのはBAL。まあ、去年も対抗に押して、本命のBUFとともに思いっきり大コケしたんですが。マクネア、アンダーソンの獲得、ルイス、リードの復活という、リーグ全体を見ても最も分かりやすく「のびしろ」を感じさせるチーム。ただ、その分かりやすさが罠という可能性もなきにしもあらず。不安はやはり揃ったタレント全てを台無しにする危険のある脆弱なOL。そして私が押しているということ。

2.PITスティーラーズ (昨季11勝5敗→今季予想10勝6敗、WC)

  • Last Season:QBベン・ロスリスバーガーのケガなどで停滞した時期はあったものの、終盤4連勝でプレイオフ最後の椅子をもぎ取ると、その勢いでシンデレラCINを粉砕、INDとのコント劇場も制し、一気にSB制覇まで駆け上がった。RBジェロウム・ベティス、デュース・ステイリーが負傷していた序盤にRBウィリー・パーカーが思わぬブレイク果たしたのも大きかった。
  • Best:オフシーズンにはノーヘルでバイク事故ったり、開幕直前に盲腸になったりとネタを振りまいているQBベン・ロスリスバーガーですが、リーグでも屈指の「勝てるQB」であることは確か。QBレート20台でスーパーボウル勝てるQBなどそういません。長年PITの象徴として走り続けてきたRBジェロウム・ベティススーパーボウルでもトリックプレイのタネとして活躍してたWRアントワン・ランドルエルと大駒小駒が抜けましたが、ロスリスバーガーとRBウィリー・パーカー、そしてTEヒース・ミラーという次代を担う若手3人に、頼れるエースWRハインズ・ウォード、堅いOLと揃っており、充分勝てる戦力。
     ディフェンスはCINのカーソン・パーマーを殺ったDEキモ・ヴァン・オールフォッヘンが抜けたものの、CINの恨みをそらすことができてかえって好都合かもしれません。それ以外は戦力維持しており、今季もディック・ルボウDC操る変幻自在のブリッツが猛威を振るいそう。昨季終盤からスーパーボウルまでの怒涛の連勝時の勢いが続けば、一昨年の準パーフェクト並の成績もありえる。
  • Worst:ロスリスバーガーは勝てるQBではありますが、逆に言うとロスリスバーガーが抜けるとガクッと勝率落ちるのがこのチーム。実績ある控えはチャーリー・バッチのみ、その実績も微妙なものですので、ロスリスバーガーの健康は絶対条件。まあ、OLがいくらブロックしようが、ヘルメットかぶってバイク乗ろうが、虫垂炎は防げませんが。抜けたRBベティス、WRランドルエルは、数字だけ見れば大したことないですが、戦術の幅ということを考えると重要なピースだっただけに、意外と痛手になる可能性も。特に「あと1y確実に欲しい」という時、これまでは何も考えずにベティスで行けてたところをどうやって取りにいくのか。RBデュース・ステイリーではベティスのような安心感はありませんし。ロスリスバーガーのスニークとかの方がまだ確実そう。ランドルエルの移籍については、WRとしてよりもリターナとしての穴の方がむしろ気になるところ。風が強いハインツフィールドで慣れないリターナが何かやらかして、勝てる試合をポロポロ落とすというのはありえる話です。
    • そう極端に大きくはないけど気になる戦力ダウンの穴、これといって見当たらないプラス要素という、前王者としてはありがちなオフを過ごしたPIT。昨季はトリックプレイがハマりにハマってのSB制覇という感じでしたが、前王者として警戒される上、RBベティス、WRランドルエルというトリックの重要なタネが流出してしまった今季はそう上手くいくかどうか。トリックプレイというのはハマれば鮮やかですが、外すとコーデルさん&村木時代のネタ系チームに逆戻りする危険性があります。ロスリスバーガーもこのオフはすっかりネタに走ってますし。堅い守備をベースにしながら、一発ネタのある攻撃で勝ちをもぎ取るという組み合わせは興味深いのですが、連覇を期待するほど信頼する気にもなれないというところ。

3.CINベンガルズ (昨季11勝5敗→今季予想8勝8敗)

  • Last Season:先発2年目のQBカーソン・パーマーがQBレート100超の大ブレイクで、オフェンスが爆発。ディフェンスもヤードは進まれるもののTOも連発。攻守噛み合って地区優勝を果たし、勢いよくプレイオフに乗り込むも、5分経たないうちにパーマーが壊される悲劇。シンデレラストーリーはまさかのバッドエンドで幕を閉じることに。
  • Best:プレイオフでヒザ靭帯断裂の大怪我を負ったQBカーソン・パーマーでしたが、無事回復間に合って開幕から出てこれるのは何より。言うこともやることもデカいチャド・ジョンソン、奇抜な名前に似合わず渋い活躍見せるTJ・ハシュマンザデ、犯罪者顔のクリス・ヘンリーと個性派揃うWR陣に、パワー型のルディ・ジョンソン、万能型のクリス・ペリーというバランス良いRBデュオという豊富な手駒たちを、パーマーがノーハドル&オーディブルを多用しながら自在に操るオフェンスは破壊力満点。それでいてTOが少ないと安定感もあるのがパーマーの只者じゃないところ。ディフェンス側の対応が難しい攻撃だけに、今季も爆発的な得点力を期待できます。
     安定して相手を止めるような堅さはないんだけど、ハマるとTOを連発する爆発力のあるディフェンスは、10INTのCBデルサ・オニール、5INTのCBトリ・ジェイムズが揃うDB陣に、TB時代にスーパーボウルでド派手な活躍したSデクスター・ジャクソンを加えて、更に一発屋濃度を増やして勝負。攻守にスリリングな空中戦で楽しませてくれそうです。
  • Worst:最強の2番手QBジョン・キトナがチームを去り、今季はBALでカイル・ボウラーと熾烈な先発争いをしてたアンソニー・ライトが控えと大幅クレードダウン。大ケガ明けで無理させたくないというのに、パーマーが壊れた場合のリスクは昨季よりも遥かに高まってしまってます。パーマーを守るOLは十分な強度をもってますが、PIT、BALと凶悪守備の揃うAFC北だけに怖いところ。また、ノーハドル&オーディブルの攻撃スタイルは、INDのペイトン・マニングも用いてるものですが、3-4守備にはやたらと脆いところを見せてるのが不安。今季は同地区のPIT、CLEの他、NE、SDと3-4守備を採用するチームとの対戦が嫌がらせのように6試合も組まれてます。
     守備では、昨季、新人LBながら5INTとCIN守備の爆発力の象徴のような活躍見せたオデル・サーマンが薬物違反で4試合出場停止というのが痛すぎ。一発屋たちのTO奪取力が落ちてしまうようだと、ただドカンドカンやられるばかりの脆い守備に成り下がる可能性高い。CBデルサ・オニールは一発屋系CBとしては最高ランクの選手ですが、10INTとかさすがに出来すぎ。そもそも、2年連続で活躍などしたら一発屋とは言えません。
    • 昨季は攻守が噛み合い過ぎるくらい噛み合ったCIN、それだけにシンデレラになるなら昨季しかなかったように思えてしかたないです。しかも、ただでさえキツめな地区だというのに、今季は他地区との対戦もアウェイでIND、DEN、TB、さらにNE、CARなど昨季勝率5割以上のチームが10試合中8試合占めるという地獄スケジュール。緩めなスケジュールだった昨季の11勝どころか5割すら結構厳しいと思う。逆に、これで今季も勝ち越せるなら実力は本物といえますけど。

4.CLEブラウンズ (昨季6勝10敗→今季予想4勝12敗)

  • Last Season:NEから守備の鬼才ロメオ・クレネルを新HCに迎えて、再建への一歩を踏み出したシーズン。大ベテランのトレント・ディルファーと新人のチャーリー・フライというキャリアの差はあるけど、能力的には大差ない2人のQBしか与えられてない中で6勝したのは上出来。DENから拾ったRBルーベン・ドローンズはゾーンブロックの助けなくても1200y超ときっちり結果出してくれた。
  • Best:オフェンス最大の期待はTEケレン・ウィンズロー息子。鳴り物入りで入団しながら、2年間で出場2試合(昨季は全休)というどこのレアアイテムだという出現率、一度もプレイしてるところ見たことないのですが。3年目の正直で実力を発揮して、いきなり80キャッチとかしようものなら、なにせ元が2年で5キャッチですので上積みはデカい。このウィンズロー息子に新加入のWRジョー・ジャレヴィシャスと、大型のターゲット揃えてるのは経験ないQBチャーリー・フライにとって安心できそう。TEアントニオ・ゲイツとともに突如ブレイクしたQBドリュー・ブリーズのように、フライがブレイクしてもおかしくない、と言ったら言い過ぎだろうやっぱり。
     ディフェンスは、クレネルのNE時代の弟子LBウィリー・マクギネストとNTテッド・ワシントンを召集。強力なパスラッシュ力を備えたOLBと、真ん中をどっしり抑える巨漢NTという、3-4守備のキーとなるポジションを二つ揃えられたのは光明。ドラフト上位で取った新人LB2人が、昨年のショーン・メリマン、ロファ・タトゥープ級の大当たりなら、クレネルが爆発しちゃったりするかも。
  • Worst:TEウィンズロー息子が、二度あることは三度あると今年も壊れてしまった場合、もしくは健康に1年過ごすけど全然パッとしなかった場合。どちらの方が最悪かは微妙なところですが。本来は「たまに強烈な存在感を発揮する3番手」くらいがベストポジションなWRジャレヴィシャスを、エースとして頼らざるをえないような状況になっては希望はありません。あとQBフライの成長に期待するんであれば、能力はともかく教師役足りうる経験の持ち主だったディルファーのおっさんをSFに放出してしまったのはどう。しかも代わりに貰ったのがQBケン・ドーシー。近年負けダルマと化してるSFにすら負け犬としてお払い箱にされたドーシーから特に教わることがあるとは思えないですが。
     ディフェンスで気がかりなのは、LBマクギネスト34歳、NTワシントン38歳というキーマン2人の年齢。ワシントンなど一度ケガでもしようものなら、即引退決意しちゃいそうな年ですので、来年も再来年も使うつもりなら気をつけないといけません。
    • 全体的に見れば戦力はアップしてるように思うのだけど、じゃあこのQBのデプスで勝てると思うのかと聞かれたら目を逸らすほかない。今年はチャーリー・フライに託すというならそれはそれで構わないと思いますが、それならもうちょっとましなバックアップ揃えられなかったのかと。
  1. BALレイヴンズ(15-1):ボウラーの小僧はマクネア大先生にQBは何たるかというものを教わるがいい。
  2. PITスティーラーズ(10-6):勝利を掴むか、笑いに走るか。
  3. CINベンガルズ(8-8):ラスト3週が@IND、@DEN、PITとか嫌がらせにもほどがある。
  4. CLEブラウンズ(4-12):土気色になるまでじっくりフライ。