2005シーズン(7)NFC南


1.CARパンサーズ (昨季7勝9敗→今季予想12勝4敗、地区優勝)

・昨季は「スーパーボウル敗者の呪い」にまんまと祟られてしまったCAR。
・それでも後半戦は6勝2敗と挽回してきたのは地力の証明、呪い明けの今季は2年前の快進撃を再現しましょう。
・とにかくRBスティーヴン・デイヴィス、デション・フォスター、WRスティーヴ・スミスという主力が次々と壊れるという、ものの見事な呪われぶりで。
・やけくそでQBジェイク・デロームがパスを投げまくったために、オフェンスはラン28位、パス9位という、このチームとしては考えられない、逆じゃないかという数字に。
・しかし、今年はデイヴィス、フォスターが戻ってきますし、昨季後半の反抗の核となっていたFB上がりのニック・ゴーイングスもいますから、ちょっと他所に一人くらいおすそ分けしたらどうかというほどにRBは充実。
・昨オフに激しく流出して弱体化したOLも、今オフではGBの壁Gマイク・ウォールを獲って補修に成功。
・このチーム本来の形である、ランごり押し大作戦が、一昨年より更にパワーアップして帰ってきます。
・一方、あれだけ手駒を欠きながら思いのほかタフガイぶりを発揮したデローム率いるパス攻撃は。
・デローム投げまくりのおかげで地味にリーディングレシーバに輝いたエースWRムシン・ムハマドは失ったものの、若い方のエースWRスティーヴ・スミスの復帰と、若年寄WRキアリー・コルバートの成長分で、とんとんかちょいマイナス程度。
・補強のWRロッド・ガードナーはどうせ落球しまくってすぐ干されるでしょうから、レシーバの層は厚いとは言えませんけど、そもそも今年はラン攻撃がしっかりしてるので、昨年ほどパスを投げまくる必要がありませんから問題ありません。
・デロームとしては、投げまくって肩が壊れそうになるくらいの方が調子良いのかもしれませんが。
・CARの獰猛ディフェンスの顔である、怪物DEジュリアス・ペッパーズ、こちらも昨季のケガから戻ってくるDTクリス・ジェンキンズら擁する、最強DLカルテットは健在で鉄壁。
・そして大きいのが、CBケン・ルーカスの獲得。
・これでルーカスと新人ながら6INTのCBクリス・ギャンブルとで先発CBを組めるので、典型的な一発屋系CBリッキー・マニングJrを、一昨年のプレイオフ時と同じく第3CBで使えるのが大きいのです。
一発屋はたまに出てきてドカンとやるから一発屋、昨季のように先発でずっと出ずっぱりだとGet Along Togetherどころではないです。
・穴といえるのはハイパーPトッド・サワーブランを失ったことくらいで(これがとんでもなく響く可能性はありますけど)、トータルでは一昨年並の力はありそうです。
・そして一昨年に比べると、NFC全体のレベルは下がり気味(この南地区はキツめですが)、となればこれはもう。


2.ATLファルコンズ (昨季11勝5敗→今季予想11勝5敗、ワイルドカード

鳥人QBマイケル・ヴィックとともに、NFCチャンピョンシップまで駆け上がったATL鷹の団。
・このチームについては、昨年も同じこと書きましたが、とにかく「ヴィックが元気ならプレイオフ、壊れたら大負け越し」としか予想しようがありません。
・この場合の「元気なら」というのは、もちろん「元気にパスを投げるなら」ということではなく、「元気に走りまくるなら」ということ。
・DENでマイク・アンダーソンだろうとオランディス・ゲイリーだろうと1000y走らせていたアレックス・ギブスOLコーチを引き抜いた効果で、ヴィックまでも1000y走ろうかという、リーグ1位の破壊力を誇ったラン攻撃こそが、昨年の快進撃の原動力ですから。
・昨季はRBウォリック・ダン、TJ・ダケットとの3人で2500y走ってNFC決勝敗退でしたので、今年は3000y走ればスーパーボウルです。
・しかし向こうのメディアが付けた「DVDアタック」という呼称はどうなんでしょう。
・あんな丸くて薄くて光ってるものにアタックされたところで、とか思うといまいち使う気に。
・パス攻撃とかについては、もう蛇足という感じもしますが、一応、見てみますと。
・パサーとしてのヴィックは、短いパスに照準を合わせるのが困難な、ほとんど無駄ともいえるくらいの強肩と、カイル・ボウラーなどと同じような遠視の目の持ち主。
・ですので、今年も実績的には上位のWRデズ・ホワイト185㎝などよりも、身長的に上位なTEアルジ・クランプラ188㎝や、WRマイケル・ジェンキンス193㎝、ブライアン・フィネラン196㎝あたりにパスが集中することでしょう。
・そういう意味では、エースになりきれなかったWRピアレス・プライス180㎝の放出は特に問題ないですが、ドラ1でWRロディ・ホワイト183㎝を指名したのはかなり疑問、もっとデカイのいませんでしたか。
・まあ、NFLでヴィックが長生きするためには、そろそろ遠視を矯正してスピード型WRも探せるようにならないといけないのは確かですけど。
・今のプレイスタイルを続けますと、待ってるのは、「あの人は今」なコーデルさん直行コースか、栄光と引き換えに体ボロボロなスーパーボウル・MVP経由マクネア行きか、せいぜいでタイル職人経由カニンガムコースです。
・ディフェンスは、DEパトリック・カーニーら活きのいいDLのパスラッシュで、並クラスのDBをなんとかごまかすという、流行の"シンデレラ"スタイル。
・勢いに乗るとTOを誘発する破壊力があるけど、受けに回るとモロいスタイルだけに、ジム・モーラJr.HCがどこまで強気のカバ面を保てるかがカギ。
・しかし、モーラJrは二世の割に意外としぶとい性格のようで、就任初年度でプレイオフ勝利を挙げるなど、既に父モーラを超えた感も(まだ早いか)。


3.TBバッカニアーズ (昨季5勝11敗→今季予想6勝10敗)

スーパーボウルを制した2002年シーズンからわずか2年、5勝11敗にまで転げ落ちたTB。
・タレントはまだ揃ってるものの、DEウォーレン・サップ、Sジョン・リンチという迫力の塊だった2人を失い、かつての脅威がないディフェンスと、タレントは全く揃ってないし迫力も欠片もないオフェンスでは、それは勝てません。
・かつてほどではないといっても、DEシミオン・ライス、LBデリック・ブルックス、CBロンデ・バーバーらが揃うディフェンスはリーグ5位と堅さを保ってるわけですから、ジョン・グルーデンHCも(最近では誰も「オフェンスの鬼才」だとか言ってないんだから)無駄な工夫をするより、手堅くラン攻撃で進めればなんとかなりそうなのですけど。
・しかし、ゴリ押しランの核にするには心許ない器用貧乏型RBマイケル・ピットマン、ゴリ押し向きの重戦車型ではあるけど、ポンコツ化が激しく3y進むのも辛くなってきた人気者FBマイク・オルストットではそれも厳しいですか。
・となると、頼みはドラ1新人RBカーネル・ウィリアムズですが、そもそもグルーデンが新人に頼むかどうかが問題です。
・パス攻撃は、昨年、QBレート97.5と数字は素晴らしいものを残したけど、あいかわらず数字ほどには勝てないQBブライアン・グリーシーが今年も指揮。
・今年もそれなりに個人成績は残すでしょうけど、どうせ勝てませんのでどうでもいい数字です。
・もしくは、数字も結果も残すけど、プレイオフが見えるか見えないかというあたりで負傷リタイアして、あと一歩のところでチームを地獄に落とすという必殺パターンもグリーシーにはあります。
・控えQBは、どうもグリーシーと同じ匂いがしてきてる二世QBクリス・シムズと、実績のないルーク・マカウン弟という。
・グリーシーを先発に据えるにしてはあまりにリスキーなデプス、フロントはグリーシーの特性を理解してるのかどうかかなり怪しいです。
・タレントだけ見れば優勝してもおかしくないものはあるのですが、グリーシーがいた頃のDENも毎年そう言われててどうにもなりませんでしたから、今年のTBもきっとどうにもなりません。


4.NOセインツ (昨季8勝8敗→今季予想5勝11敗)

・ハリケーン直撃でスーパードームも吹っ飛び、アメフトどころではなくなってしまってるニューオリンズ
・確かに昨年のプレビュウで「チーム関係者はもうちょっと「話題性」ということを考えてください」と書きましたが、こんな話題で来られてもこっちは絶句するばかりで。
・代わりのスタジアムは見つかったようで、全試合アウェイという地獄はなんとか避けられましたが、間借りのホームではアドバンテージはほとんど望めません。
・また、家捜しに忙しかったのか、昨季リーグ最下位に終わったディフェンスにも、リーグ15位とあいかわらずの地味さ加減のオフェンスにも、今オフは(今オフも)これといった補強なし。
・あいかわらずこのチームは書くことがなくて困ります。
・「ニューオリンズのみんなのために」とチームが団結して、近年伸び悩んでる原因であるこのチーム特有のムラが解消されれば、ひょっとすればひょっとしないとは言えない程度の戦力はあります。
・「団結したけどムラを抑えるのは1ヶ月くらいしかもたなかった」とかいう場合は、ホームを失った不利だけが残りますので、夢も希望もない結果になります。
・確か、同時多発テロがあった年、NYの2チームはさっぱりでした。


1.CARパンサーズ(12−4)・・・一発屋アゲイン。
2.ATLファルコンズ(11−5)・・・ヴィックがコケたら、勝敗数は逆で。
3.TBバッキャニアーズ(6−10)・・・グリーシー劇場。
4.NOセインツ(5−11)・・・風と共にカトリーヌ。