2005シーズン(2)AFC北


1.BALレイヴンズ (昨季9−7→今季予想10−6、地区優勝)

・今回の予想で、一番堅いと思ってるのがこの地区のBAL優勝だったりします。
・近年のNFLの守備優位の流れを築いたチームだけに、オフェンス31位、ディフェンス6位と、あいかわらずの堅守貧攻ぶりで、昨年はプレイオフまであと一歩の9勝。
・ディフェンスは、ピーター・ボウルウェアが抜けたLBはレイ・ルイス頼みでやや手薄も、その分、凶悪犯ルイスのタックル数が増えるようだと、相手チームにはむしろ脅威というか恐怖です。
・CBサマリ・ロールが加わり、名手CBクリス・マカリスター、守備MVPのSエド・リードと構成されるDBはリーグトップクラス、後ろは心配する必要なし。
NFLで唯一の"パスより進む"ランオフェンスは、塀に囲まれたところで健康的な生活を送っていたため休養充分のRBジャマール・ルイスと、昨年ルイスの肩代わりで700y走ったチェスター・テイラーのコンビで、誰かが起訴とか収容とかされない限りはかなり強力。
・予想としては「来オフにドメスティックヴァイオレンスで起訴」あたりが怪しいところですが、とりあえず今年はちゃんと働くでしょうたぶん。
・"ランより進まない"パスオフェンスは、テコ入れとしてTENからWRデリック・メイソンを獲得。
・メイソンは信頼性の高い好WRで、私の好きな選手の1人ですが、どう考えても真っ先にテコ入れすべきところが他にあるだろうという気がしないではない。
・そのテコ入れすべきQBは、あいかわらず190㎝以上のレシーバーしか見つけられない遠視のカイル・ボウラー(なおメイソンは178㎝)が先発に、控えは15yまでしか視野がない近視のアンソニー・ライトという、帯に短し襷にも短しユニット。
・そうえいば、コーデルさんはどこに(ここにも名前ないし)。
・しかしボウラーも3年目ということで、同じく先発3年目で前年QBレート67.5からブレイクしたドリュー・ブリーズのようなことがないとはいえません。
・強力なRB、有能なキャッチングTEが揃ってるという条件も似てますし。
・まず、ないですけど。
・今年もおとなしくRBへのトスだけしてればいいです。
ボウラーがよっぽどのことをしでかさなければ、ランのゴリ押しとKマット・ストーヴァーのキックだけで、地区優勝は転がり込んでくるはず。


2.CINベンガルズ (昨季8−8→今季予想9−7)

・マーヴィン・ルイスHC3年目のCIN、昨季は'03シーズンのジョン・キトナの必要以上な頑張りによってずれ込んだQBカーソン・パーマー育成期間に当てられましたが、今季はいよいよプレイオフに挑むとか挑まないとか。
・昨年は平均得点23.4点、失点23.3点、8勝8敗の5割という、名古屋グランパスばりの中位っぷりで、まさにNFLの標準を示すチームという感じでした。
・しかし、ちょっと前まではNFLの底辺の方の標準を示すチームだったことを考えれば大きな前進です。
・2年目にしてチームを任されたQBパーマーは、パス成功率60%、18TD、18INTという、これまた先発1年目とは思えぬ「普通」ぶりで、大器の片鱗を示したのかどうなのか。
・ただ、WEEK12に、CLEと58−48というどこの日本代表だというバカゲームをしたことで吹っ切れたか、それ以降、コンスタントに得点できているのは悪くない兆し。
・いつだかのキーション&ブラッドに比べると、だいぶ活きが良いRBルディとWRチャドの「ジョンソン&ジョンソン」がチームの看板。
・パーマーがこのJOJOとともに「虎プレッツ」とかなんとか並び称されるところまで行けば、プレイオフも見えてきそうです。
・逆にいうと、今年のCINは「パーマーの成長」と、あとせいぜい「戦術の浸透」くらいしかプラス要素がありませんので(マイナス要素も特にない)、パーマーが伸び悩むとそのまま勝ち星も伸び悩むことになると思います。
・ランオフェンス優位の地区を勝ち抜けるにはいささか脆弱なラン守備と、リターンTDゼロというスペシャルチームのインパクトの弱さに足を引っ張られて、プレイオフにはあと一歩届かないと見ますがさて。


3.PITスティーラーズ (昨季15−1→今季予想8−8)

・シンデレラQBベン・ロスリスバーガーとともにリーグ最高成績でプレイオフに臨むも、スーパーボウルまであとちょっとのところでガラスの靴が脱げて、壮絶な転落死を遂げたPIT。
・躍進の原動力は、最強ディフェンスと、力強いランアタック、そしてシンデレラの魔法だったわけですが、今年頼れるのは最初の一つのみ。
・ランアタックの中心であるRBデュース・ステイリーは、ヒザに故障を抱えており頼れない状況。
・昨年、局地戦用に改造されたことで再生したRBジェロウム・ベティスも、いい加減ポンコツなだけに、ステイリーの代わりに先発汎用機として1シーズン通して働けるかというと疑問が。
・かといって、魔法が切れたロスリスバーガーは、NEに受けた心の故障を抱えていますので、もっと頼れません。
ロスリスバーガーはプレシーズンゲームでもさっぱりの出来で、まず間違いなく「2年目のジンクス」に陥ります(断言)。
・ランの破壊力が低下し、28位だったパス攻撃が更に低迷するとなると、もうびっくりするくらい点が取れなくなるような気がします。
・そうなると、心の傷にさらに塩を塗りこむようなことを言い出しそうなWRプラクシコ・バレスを放出したのは、ロスリスバーガーの将来のためには逆に良かったかもしれません。
・元々、バレスはロスリスバーガーのターゲットとしてはいまいち機能してませんでしたし。
・リーグ1位をマークしたディフェンスは健在ですが、オフェンスがボールを全くコントロール出来ないようだと、いかに鉄壁といってもそのうちブチ切れる(特にDB陣はCBチャド・スットコが抜けたとはいえ大したことない)というのは、昨季のプレイオフでも実証済
・今季のPITはマンデーナイトゲームが3試合も組まれてますが、毎年恒例"ガックリマンデー"の立役者として活躍するんではないかと思います。


4.CLEブラウンズ (昨季4−12→今季予想3−13)

・NEトリプレッツの一角、ロメオ・クレネルを新HCに迎えて、今世紀何回目かの再建に臨むCLE。
・新CLEの旗手として、先発QBを務めるのは、"'00シーズンのスーパーボウルQB"トレント・ディルファー。
・・・・ディルファーが"スーパーボウルQB"であるというのは全くの真実ではありますが、何と言うか、それは「クリリンが"最強の地球人"である」というのと同じ類の「真実」だと思います(分かりにくい)。
・ディルファーの持ち味というとその豊富な経験。
スーパーボウルを制した直後にチームからあっさり放り出され、他チームから声もかからない、などという経験をしているQBはディルファー以外にはいません。
・ちなみに経験以外の能力は、肩も脚も毛も寂しいものがあります。
・まあ、ディルファーには若手への教師役としての役割が期待されてるのでしょうから、しっかりと実体験に基づいた「NFLでのしぶとい生き抜き方」とかを若手に伝授してもらいたいです。
・他には昨季DENで1200y走ったRBルーベン・ドローンズなども取りましたが、DENでの1200yラッシュは他チームでは800yくらいの価値しかありませんので、過剰な期待はできません。
・ばっさり先発を放出し、それでいてこれといって補強もしていないディフェンスともども、再構築のための土台作りのための柱となる木材を育てるための種をまくための1年。
・これでクレネルにHCとしての資質がなかったりすると、来年は種をまく人を選ぶところからまた始めなくてはいけなくなりますけど。



1.BALレイヴンズ(10−6)・・・明日の執行猶予のために。
2.CINベンガルズ(9−7)・・・「中位のCIN」確立へ。
3.PITスティーラーズ(8−8)・・・BALを超える「ランより進まないパスオフェンス」の可能性も。
4.CLEブラウンズ(3−13)・・・罰ゲームのような戦力。