2004シーズン(7)NFC−南


1.NOセインツ (昨年8勝8敗→今年予想9勝7敗、地区優勝)

 シンデレラの名産地、NFC南地区。順番的には今年はNOにガラスの靴が用意される番ではないでしょうか。という理由になってない理由で本命に。ややムラのあるチームという印象があったのですが、昨年の成績を見ると、プレイオフチームには敵わないものの下位チームからはしっかり勝つという、意外に安定した噛ませ犬ハンターぶり。攻撃11位、守備18位と数字的にもまずまずバランス取れてます。QBアーロン・ブルックス、RBデュース・マカリスタ、WRジョー・ホーンという「中の上」トリオが力をフルに発揮すれば、上の下くらいは狙えそう。戦力的にはFBがテレル・スミスからサム・ギャッシュに変わるのが最大の変化でしょうか。ほとんど直球と見分けつかないような変化ですけど。こう言ってはなんですけど、ネタがなさすぎますこのチーム。チーム関係者はもうちょっと「話題性」ということを考えてください。だから昨年に続いて今年もNHKが1試合も放送してくれないんです。

QB#2アーロン・ブルックス 肩:B+ 脚:A- 心:B-
 怪物マイケル・ヴィックの親戚として知られる、普通の人間。機動力が売り、のはずですが、最近ではブルックスくらいの脚力では個性足り得なくなってきてるので、いまいちキャラが立ってこない。昨季は3546y、24TD、7INTという、数字だけ見ればMVPのスティーヴ・マクネアにも劣らないほどのパス成績もマークしているのですが、そのわりにパサーとしてもそんなに評価されてない。「普通の人」ゆえの悲哀を感じます。パス1回平均yの低さと被サック、ファンブルの多さが課題。


2.ATLファルコンズ (昨年5勝11敗→今年予想9勝7敗、ワイルドカード

 プレシーズンでのQBマイケル・ヴィックの負傷により蝕に巻き込まれた昨季の悪夢から、巻き返しを図る黒き鷹の団。このオフには、びっくりくらい役に立たなかった控えQBどもを一新してヴィックの負傷に備えるフリをしたりしましたが、今年も基本的にはヴィック頼み。ヴィックがコケたらみなコケます。逆にヴィックさえ元気なら、一人でプレイオフまで連れてってくれるでしょう。DENでは誰が走っても1000yラッシャーにさせたアレックス・ギブスOLコーチの構築するOLに、RBウォリック・ダンとTJ・ダケットの弾丸&樽生コンビにヴィックが(コーチが加えたくなくても)加わって繰り出されるラン攻撃は、いろんな意味でスリリング。パス攻撃はWRピアレス・プライス、デズ・ホワイト、ドラ1新人マイケル・ジェンキンズ、TEアルジ・クランプラとレシーバを揃えてきており、向上間違いなし。守備が並程度まで立ち直れば、プレイオフかそれ以上も。ヴィックに依存したATL攻撃は、特定チームに対して異常に強さを発揮したりするので、組み合わせ次第では一気に駆け上がる可能性も充分あります。ただ新HCジム・モーラJrのカバ面に運の強さが欠片も感じられないのが心配なところです。

QB#7マイケル・ヴィック 肩:A- 脚:AAA 心:B
 ATLのエースQBにしてエースランナーでもある怪物QB。RBどころかWR並のスピードとレーザービームな肩を備えており、一人で相手守備の意図もオフェンスコーディネイタの意図も粉砕してしまう、存在そのものが反則気味のハイパーアスリート。今年のATLはヴィックを守るためにウエストコースト攻撃を導入してショートパスを多用するスタイルで行くらしいですが、それはボブ・サップに格闘技を教えこむようなことだと思います。


3.CARパンサーズ (昨年11勝5敗→今年予想8勝8敗)

 Pトッド・サワーブランのビッグパントで陣地を押し込み、最強DLで相手攻撃を抑え、RBスティーヴン・デイヴィスのパワーランでじりじり進む。始めからリピート。というシンプルかつ力強い戦い方で、ビル・パーセルズ、マイク・マーツ、アンディ・リードという錚々たる面子を沈めてスーパーボウルまで駆け上がったディフェンディング・シンデレラ。NE相手にも互角に渡り合ってみせた実力は本物と見ても良いでしょう。ただ、実力があろうが簡単に2年連続勝てないのがNFL。今年は周りのマークがきつくなります。昨年と同じ戦い方で、同じように勝てるかどうか。また、看板のDLカルテットは維持したものの、もう一つの生命線であるラン攻撃を支えるOLに流出が相次いだのは痛手。QBジェイク・デロームも機動力がなくプレッシャには弱いだけに、OLが崩れると全く攻撃が機能しなくなる危険もあります。DBも入れ替えが激しく、先発で残ったのはSマイク・ミンターのみ。ただこのポジションは元々たいしたことなかったので、入れ替わったところでそんなに戦力ダウンは心配しなくてもいいかもしれませんが。プレイオフのスター、CBリッキー・マニングJrが先発昇格して一発屋でないことを証明できるかどうかが鍵。最近はスーパーボウルに出たチームは翌年プレイオフにすら出れないということが多いのですが、CARもその例にハマりそうな。

QB#17ジェイク・デローム 肩:B 脚:B- 心:A
 開幕当初のロドニー・ピートの控えという立場からスーパーボウル進出QBへ、見事に成り上がりを果たした田舎者。元同僚の河口正史氏ですら「カジノ好き」くらいしか特徴を見つけられないような能力的にはごく平凡な選手。ただ、溢れる闘志で(大声でわめきながら)リーダーシップを発揮することで、チームを勝利に導くことが出来る。結局のところ、QBの価値というのは「チームを勝たせる力」によるわけですから。昨年のデロームはトム・ブレイディに次ぐNFLで2番目に優れたQBだったと。言っても過言ではないこともありません。


4.TBバッカニアーズ (昨年7勝9敗→今年予想6勝10敗)

 奈落に落ちたチャンピョン。守備で頂点に立ったチームが、WEEK5、ホームでINDに大逆転負けを食らったところで発狂。WEEK10でもCARにKマーティン・グラマティカが連続ブロックされた末に負けたり、WRキーション・ジョンソンが反乱を起こしたりと、あれほどの強さを誇ったチームが勝ち方を忘れてしまったような崩壊ぶり。攻撃10位、守備5位という数字を残しながらわずか7勝しか出来なかったというのは、なにか病んでたとしか思えません。昨シーズン中にキーションの首を切り落としたのに続いて、このオフにはDEウォーレン・サップ、Sジョン・リンチというチームの象徴といえる両選手を追い出すという荒療治で回復に努めましたが、勢い余ってOLまでグズグズになってしまいました。QBブラッド・ジョンソンは怪我に弱いタイプだけにOLがしっかり守れないようだと、控えQBブライアン・グリーシーに出番が回ってくる可能性もなきにしもあらずです。まあ、グリーシーも病んでますけど。

QB#14ブラッド・ジョンソン 肩:A- 脚:C 心:B-
 ミスが少なく正確なパスを投げますが、肝心な場面で決定的な仕事をすることもあまりない。良くも悪くも安定しているポケットパサー。トレント・グリーンと同型。2年前のスーパーボウルの時も、大量得点で勝った試合なのにジョンソンが何かしたという印象は全くないです。守備だけで勝てた頃のTBにはぴったりのQBだったといえますが、今年のTBにそこまでの守備力があるかどうか。



1.NOセインツ(9‐7)…来季は試合放送してください。
2.ATLファルコンズ(9‐7)…ヴィックはそろそろ真のスターに。
3.CARパンサーズ(8‐8)…今年もDL命。
4.TBバッカニアーズ(6‐10)…オフェンスに迫力なさすぎ。