2004シーズン(3)AFC−南

 NFL開幕に先立って。「タッチダウンプロ10月号」、「NFL選手名鑑2004」、「NFLを知り尽くす!」などの雑誌、本が出ていますが。一長一短で、どれを買ったものか迷った人もいるのではないでしょか。私は後藤完夫氏のプレビュウ(今年は例年以上に力入ってます)を読むために「TDプロ」を買いましたが、コーリー・ブラッドフォードが23歳だったり、TENの先発RBがエディ・ジョージのままだったり、OAKが2年前にSB優勝してたりするとんでもない雑誌なのでオススメ出来ません。同じところが出してる「NFL選手名鑑2004」もカラー顔写真が載ってるのは良いですが、良いのはそれだけ。昔のデータ充実させる暇があるなら昨季のスタッツと今年の予想先発くらいしっかり載せて下さい。「NFLを知り尽くす!」は今年のはあまりちゃんと見てないですが、平成11年版なら持ってます。今年のプレビュウなどの他に用語解説とかが載っている(と思う)ので、オフェンスラインでGとT、どちらが内側かいまだによく分かってないような人は手元に置いておくと便利。なので手元に置いています。結論としては、明後日15日まで待って、ベースボールマガジン社から出る「NFLイヤーブック2004」だけ買うのが賢い行いだと思います。

 と、そんなNFLプレビュウレビュウはともかく。プレビュウです。3地区目。


1.INDコルツ (昨年12‐4→今年予想11‐5、地区優勝)

 ハイパーなオフェンスとフニャフニャなディフェンス。昨年のプレイオフではKCとの裸拳でのドツキ合いを制して喧嘩世界一を証明。しかし、カンファレンス決勝では科学的理論に裏付けされた現代ボクシングを駆使するNEに叩きのめされ、喧嘩では頂点に立てないということも実証してしまいました。今年はDEチャド・ブラツキ、CBウォルト・ハリス、デヴィッド・マクリン、LBマーカス・ワシントンというフニャフニャ守備の中で数少ない頼りになる選手までも流出。ディフェンスはほぼ丸裸の状態。特にDBは若手しかいないなんとも無残な選手層。ちょっと揺さぶられればすぐ露出狂状態に陥ることも考えられます。その代わりにサラリーのほとんどを注ぎ込んだオフェンスはQB、RB、WR、TE、OLとムラなく人材揃っており、相変わらずハイパー。作戦は、殴られる前に殴り倒す。立ち上がれなくなるまで殴る。以上。今年も己のコブシに全てを賭ける。そして散る。

QB#18ペイトン・マニング 肩:AA 脚:C 心:B-
 現在、NFL最高といっていいパサー。昨年のMVP。スピード、確かなルート取り、信頼できるキャッチ力を備えたWRマーヴィン・ハリソンとのホットラインは、安定感と爆発力を兼ね備えた最強コンビ。アメフト一家に生まれた坊ちゃんですが、スパイクフェイクを狙ったりと意外とコスい面も備えてたりします。昨年はようやくプレイオフで勝利を挙げましたが、カンファレンス決勝では自滅に近い惨敗。「大一番で勝てないQB」になってしまうのか。正念場。あと毛髪の生え際もかなり正念場。


2.TENタイタンズ (昨年12‐4→今年予想7‐9)

 尊師ジェフ・フィッシャーHCに率いられる、鉄の掟の宗教軍団。しかしここ5年でレギュラシーズン56勝という常勝チーム(STLと並んでトップタイ)も、遂にNFLに巣食う悪魔・サラリーキャップに捕まってしまいましたか。チームの魂ともいえる荒法師RBエディ・ジョージ、"化物"DEジェヴォン・カース、DTロベア・スミス、WRジャスティン・マケアラインズと先発級をゴッソリ喪失。TEフランク・ワイチェック、QBニール・オドネルといった、いざという時に頼りになるオジさんたちも引退。チームの動脈がバッサバサ切断されて大量出血の今オフ。フィッシャーHCの血圧が心配されます。特に昨年26位だったラン攻撃はいよいよ完全な壊滅状態。ジョージの代役として獲得したのは、RBアントワン・スミス。昨年のNEのラン攻撃27位の主役。それは補強というより廃品回収の類ではないのですか。恐ろしいことに今年のTENの補強はスミスのみでほぼ終了。攻撃はパス頼みといっても、マケアラインズ抜けてWRで頼りになるのはデリック・メイソンだけ。テネシーに魂は残っているか。

QB#9スティーヴ・マクネア 肩:A- 脚:A 心:A
 「身体能力系」から進化を遂げ、昨季MVPをペイトン・マニング分け合うなどキャリアのピークを迎えた黒人QB。かつてはパスはもっぱら無難なショートパス、困ったらFB並の体格・脚力で走りまくって局面を打開するという「第2のコーデル」のようなQBでしたが、今やパサーとしても一流。ここ数年、常にどこかしら故障を抱えているのですが、それでもプレイするタフでしぶといチームリーダー。5年前にあと1yで掴み損ねたスーパーボウルリング、手にする資格は今や充分にあります。しかしチーム自体は衰退期。マクネアに残された時間はそう多くはないのですが…。


3.JAXジャガーズ (昨年5‐11→今年予想7‐9)

 ジャック・デルリオHC体制2年目。昨年序盤見た頃は、デルリオはなんだか浮かれたニヤケ面でどう見ても頼りにならなそう(実際、その試合負けてた)だったのですが、残した数字を見ると攻撃12位、守備6位と超優秀。というか、これでなぜ5勝しか出来ないのですか。と調べたら、新人Kセス・マーラーがしこたま外したらしいです。TDプロ誌によると33回中16回失敗(と書いてありましたが、NFL.comによると33回中13回失敗でした。あの雑誌を校正してる人間は一度目玉くりぬいてアルコール消毒した方が良いと思う)。今年もKはそのマーラーか、また新人のジョシュ・マコビーか、SF時代にしこたま外していたジェフ・チャンドラーかという三択(多分、チャンドラーは既に解雇)なので、接戦を落としまくる可能性も。再建は順調に進んでいる様子なので、QBバイロン・レフトウィッチがブレイクすれば台風の目になりえます。とりあえずRBフレッド・テイラー、WRジミー・スミスが元気なうちにプレイオフに戻りたいところ。

QB#7バイロン・レフトウィッチ 肩:A- 脚:C 心:C
 身長196cm、体重111kgというFB並の体格をもつ巨漢黒人QB。当然、ダンテ・カルペッパー並にノシノシ走りまくるのかと思ったら、実は鈍足という意外性の男。しっかりポケットに留まってパスを投げる本格派。昨年はルーキーながら13試合に先発してパス2819yというのは、なかなかの成績。このオフにはマーク・ブルネルが放出され、完全に一人立ち。TOを減らせば、今年のシンデレラになる可能性もなくはないです。


4.HOUテキサンズ (昨年5‐11→今年予想6‐10)

 2002年のチーム設立から、4勝→5勝と漸進中。なら今年は6勝か。という投げやりな予想。攻守ともにブービー31位という状況ですが、攻撃陣はQBデヴィッド・カー、WRアンドレ・ジョンソン、RBドゥマニク・デイヴィスという若手トリオが育ってきて楽しみはありそう。あと必要なのは、勝負所で信頼できるベテランWRでしょうか。WRコーリー・ブラッドフォードのようなスピード馬鹿でなく。スケジュールはMIA戦がないのがなんとも厳しい。今年も雌伏の年。っていつまで伏せてるのか。

QB#8デヴィッド・カー 肩:B 脚:B 心:B
 チーム設立時にドラフト1巡1位指名を受けたヒューストンの星。身体能力的には1巡1位にしては物足りない感じが(特に前年の1位がマイケル・ヴィックだっただけに)しますが、1年目からサックを受けまくっても折れない心を持っており、リーダーとしての資質は充分。若いチームだけに一人で何もかもやってしまう身体能力系より、こういうQBの方が合ってるように思います。


1.INDコルツ(11‐5)…Kヴァンダージャットは逆クラッチャーの予感。
2.TENタイタンズ(7‐9)…マクネア一人でプレイオフまで辿りつけるか。
3.JAXジャガーズ(7‐9)…デルリオデルリオ。
4.HOUテキサンズ(6‐10)…地元に愛されればそれで良いじゃない。