2004シーズン(2)AFC−西


1.KCチーフス (昨年13‐3→今年予想13‐3、地区優勝)

 リーグ2位の攻撃と、リーグ29位の守備と、ダンテ・ホール神のリターン。レギュラーシーズン13勝3敗と突っ走るも、プレイオフでINDとのテロリスト同士の内ゲバによりこっぱみじん。"3年目の奇跡"ではなく"3年目の喜劇"に終わった昨シーズン。笑いを起こしたのは、かっぱえびせん並に相手を止められない守備。改善するために、呼ばれたのは軍曹カニンガムDC。ディック・ヴァミールHCとの白髪鬼コンビ結成。この2人の、サイドラインでのしかめ面のツーショットなど好事家には堪らないものがあります。ただし金がないので選手の補強はほとんどなし。なんでもアグレッシヴな守備を志向しているようですが、あの守備陣でアグレッシヴに守ろうといっても。座して死を待っていたのが、特攻して派手に散るのに変わるだけという気もしないではありません。攻撃陣も現状維持。成熟を増すリズミックパス、RBプリースト・ホームズ、TEトニ・ゴンザレスの決定力は今年も猛威を振るうでしょう。今年も方針は「ガンガンいこうぜ」。ラスボス相手でもザラキで勝負。

QB#10トレント・グリーン 肩:A 脚:C 心:C
 ハイパーオフェンスを操る司令塔。それにしては、これほど影が薄いのはどうしたことか。細木数子に地獄に落ちるとか言われそうなキャラ。自爆して試合を壊すようなことは少なく、安定しているパサーなのですが、逆境で頼りになるような強さに欠ける。それでも周りに頼りになる選手が多いのでレギュラーシーズン中は勝てるでしょうが、プレイオフを勝ち抜くにはグリーンが一皮剥ける必要があると思う。とりあえず「ミドリッチ」とかに改名したらいいのではないか。


2.DENブロンコス (昨年10‐6→今年予想9‐7)

 プレイオフ常連ながらも、それ以上はすっかり勝ち進めないチームとなってしまった感があるDEN。その原因は主にブライアン・グリーシーだと思ってたのですが、グリーシーいなくなってもやっぱりプレイオフ1回戦負け。そろそろマイク・シャナハンの首も寒くなってきました。このオフは「給料もっとくれ」とその働きぶりからしたらごく真っ当な要求をしたRBクリントン・ポーティスを容赦なくトレード放出。RBならいくらでもいると思っての無体でしょうが、開幕前にFBマイク・アンダーソンが故障でロスト。それでも実績あるギャリソン・ハースト、昨年もちょこちょこと出てきて輝くものを見せたクエンティン・グリフィンがまだ控えているというのが凄いですが、ラン攻撃リーグ2位という昨年の数字を維持するのは厳しいのでは。エド・マキャフリー、シャノン・シャープが去り、急激に衰えつつあるロッド・スミスとまだ成長途上のアシュリー・レリーというWR陣はかなり心許なく、QBジェイク・プラマーに大きな負担がかかりそう。プラマーの場合、負担かかるくらいで丁度良いのかもしれませんが。ハードヒット好きのサドが多いが、知性はいまいち感じられないという印象だった守備は、CBチャンプ・ベイリー、Sジョン・リンチらが加入。ボンヤリしてるようだと"サドの中のサド"Sジョン・リンチが容赦なく引き締めることでしょう。しかし補強が守備に偏り過ぎなような気が。プレイオフペイトン・マニングに最高レートをマークされたトラウマを引きずってるのでしょうか。

QB#16ジェイク・プラマー 肩:B 脚:B+ 心:A
 クネクネと動きまわりながらの猛毒の牙で一噛みで、逆転勝ちを呼び込む蛇男。ブーツレグなど動きながらのパスが得意。元々は変温動物らしい活動期と冬眠期のはっきりした、ムラのあるタイプのはずですが、DENに移った昨季は15TD7INT、パス成功率62%という、らしからぬ安定ぶり(INT一桁も成功率60%台もキャリア初)。ただ怪我で出場が11試合に留まったことで、チームの成績そのものは不安定なものに。今年の控えQBはダニー・カネル。健康第一。


3.OAKレイダース (昨年4‐12→今年予想6‐10)

 2年前、栄光のスーパーボウル進出を果たしたのは遠い昔の出来事のよう。急転直下。チームは完全なる崩壊。スーパーボウルでの惨敗の時点で既に亀裂が入っていたのかもしれません。これはいよいよ長期的な視野をもって若返りチーム再建、するのかと思いきや。このオフも更にベテランをかき集める。このチームには近視眼的な視野しかなかったようです。DEウォーレン・サップは依然として相手に脅威を与える存在ですが、キャリアの下り坂にあることは否めません。リッチ・ギャノンかケリー・コリンズかというQB問題も自ら抱えこんでますし。この2人が並ぶのを見ると「混ぜるな危険」という文字がちらつきます。一度、内乱の炎が燃え出したらノーヴ・ターナーHCでは鎮火出来るとは思えないので、今年も盛大な山火事が見られるかもしれません。更に今ロスター表見てみたら、あの伝説の"逆セイフティ"アンソニー・ドーセットの名前が消えてました。なんたる暴挙。ドーセットあってのOAK。ドーセットのいないOAKなど、普通に勝ってしまうかもしれないじゃないですか。

QB#12リッチ・ギャノン 肩:A- 脚:B+ 心:C
 長い間、成績も顔もパッとしなかったのがOAKに来て開花した遅咲きの苦労人。そのわりに、サイドラインでコーチにすぐ噛みつくなど丸くなる様子が欠片もない。過去には1シーズン4600y超パス投げたり、500y以上走ったりという、パスランともに優れたQBでした。過去形。既に38歳。斜陽の不良中年は、元アル中から先発の座を守り切れますか。


4.SDチャージャーズ (昨年4‐12→今年予想3‐13)

 さすがに見捨てました。3年前にマイケル・ヴィックの獲得権を手放してドリュー・ブリーズを2巡で指名したのに続いて、今年もイライ・マニングにフラれてフィリップ・リヴァーズで妥協するという、安物買いドラフト。攻守ともに最低クラスなのに、補強どころかWRデヴィッド・ボストン手放すなどサラリー整理に勤しむばかり。攻撃は今年もアイシールド21、RBラディニアン・トムリンソンにおんぶにだっこに肩車。トムリンソンがラン2000y、パスキャッチ1000yくらいの活躍をすれば、5割くらいまでは勝てるかもしれません。しかし、このオフに巨大契約を結んでしまいましたので、例の「巨大契約を結ぶと活躍しなくなる」というジンクスに嵌る危険性も。その場合は、QBブリーズ、WRティム・ドワイト&ケビン・ダイソンというなんとも胸踊る面子が、戦慄のパス攻撃を見せてくれるんじゃないですか。

QB#9ドリュー・ブリーズ 肩:C 脚:C 心:C
 3年目の若手ながら、40超えてるダグ・フルーティ並の肩と、遥かに劣る脚力しか持たないヘッポコQB。得意技はRBへのパス。今年もなぜか開幕先発ですが、ドラフトでQBリヴァーズを指名したことからもチームも既に見切りをつけてると思われます。開幕から怒涛の連敗→中盤でフルーティにスイッチ→終盤の消化試合は新人リヴァーズの経験の場、という黄金のローテが目に見えます。


1.KCチーフス(13‐3)…4年目の奇跡へ。
2.DENブロンコス(9‐7)…スケジュールも案外辛い。
3.OAKレイダース(6‐10)…再生工場か姥捨て山か。
4.SDチャージャーズ(3‐13)…今年は放送あるんですか。