2004シーズン(1)AFC−東

 今年のプレビュウでは、おまけとして先発QBレビュウ付き。評価の項目は、肩=肩の強さ、コントロール、リリースの早さなどパス能力全般、脚=スクランブル能力、機動力、心=勝負強さ、経験、リーダーシップなどメンタル全般となっております。

 完璧と鉄壁とヒゲとヒゲ。

1.NEペイトリオッツ (昨年14‐2→今年予想12‐4、地区優勝)

 ここ3年で2度のスーパー制覇。戦国サラリーキャップ時代に現れたベリチック王朝は今年も揺るぎなし。優勝したというのになぜか相変わらず戦力流出はほとんどなし。唯一の穴だったRBにもコーリー・ディロンを確保。CIN時代にしばしば問題発言をしていたことで、トラブルメイカとして危惧する向きもあるようですが、あんな地の獄のようなチームに監禁されてあの程度しか文句言わなかったのはむしろ人間が出来てるといっても過言ではない。それは過言。他にもCB大ベテランオーティス・スミス、一発屋テレル・バックリー、DTデブキース・トレイラーなどの補強もソツなく、むしろ戦力は昨年以上か。しかしそんな補強は細かいこと。何よりも、HCビル・ベリチック、OCチャーリー・ワイス、DCロメオ・クレネルという"NEトリプレッツ"が引き続き残ったことが大きい。先日、「サッカーはシステムだ」とのたまって失笑を買ったサッカー評論家だかサナダムシだかがいたそうですが、このNEのコーチ陣に「フットボールはシステムだ」と言われたら。納得せざるをえないでしょう。美しき頭脳に酔え。

QB#12トム・ブレイディ 肩:B+ 脚:B 心:AA
 肩が特に強いわけでもない。脚力も並。それでもトム・ブレイディはNFL最高のQBの一人足らしめているのは、その不動心。プレッシャに震えず、確実に任務を遂行するその必殺仕事人ぶりはまさにプロフェッショナルの鏡。接戦になればまず負けることはありえない。確実に鼻差を制す、その勝負強さはオグリキャップを超えたという。まさに馬並。3度目のスーパーボウルMVPへ。


2.BUFビルズ (昨年6‐10→今年予想11‐5、ワイルドカード

 昨年は開幕週でNEを完封するなどリーグ2位の守備を誇りながら、最終週でNEに完封されるなど7試合で10点以下というへっぽこ攻撃が、足を関節外れるほど引っ張ってわずか6勝止まり。プレイオフへの鍵はオフェンスにあるのは明らか。そこでフロントは前PITのOCにしてサーカス興行師、マイク村木をHCに迎えるという。外れた関節をセメダインでくっつけようとするような荒療治。しかしマイナスとマイナスが掛け合わさればプラスになるという話もあります。不器用なQBと貧弱なWR陣でどれほどの奇術のタネが仕込めるかは疑問ですが、PITのような豪華なWR陣が揃っているよりもむしろ工夫のしがいがあるともいえます。というか、工夫しないとどうしようもない。DTサム・アダムス、LBロンドン・フレッチャー、武雄先生、Sロイヤー・ミロイに新加入のCBトロイ・ヴィンセントと揃う守備陣は豪華絢爛。サーカスだろうと奇術だろうと、多少なりとも得点力が上がればプレイオフは充分射程圏内であります。

QB#11ドリュー・ブレッドソー 肩:A- 脚:C 心:B
 NFL屈指の豪腕パサーも昨年は大スランプ。QBレート73.0、TDパスはわずかに11という、サンディエゴのドリューさんの間違いじゃないかという惨状に。今年もWRの層が薄く、更にピエロ役にも適応しないといけないという逆境。しかし復活すれば4000y投げるポテンシャルは秘めてるQB。ドラ1新人WRリー・エヴァンスがものになれば豪腕復活も。


3.NYジェッツ (昨年6‐10→今年予想9‐7、ワイルドカード

 攻撃19位、守備21位。良く言えば攻守のバランスが取れた、悪く言えば特徴がない。なんとも微妙なチーム。先発WRジャスティン・マケアラインズ&サンタナ・モスとか、国語辞典の「微妙」の項目の例に挙げたいほどの微妙さ。サンタナ・モスなど名前だけなら1500y、15TD、CD200万枚セールスくらいの成績上げても良さそうなのですが。しかしこの微妙さこそがこのチームの強味なのです。サラリーキャップ時代においては穴がないチーム作りなどそうは出来ませんから。怪我に苦しんだQBチャド・ペニントンと、結局去年も全試合先発で1300y走ったRBカーティス・マーティンがフル稼動すれば、昨年から3勝くらい上積みあっても全く不思議ではありません。とりあえず、昨年まさかの黒星2つを献上したお得意先のMIA銀行からの債権回収は確実に。そういえば昨年のプレビュウで「マーティンの怪我とモーニング娘。の解散とどちらが先か」という賭けをしたのですが、いつになったら結果出るんですか。

QB#10チャド・ペニントン 肩:A 脚:B- 心:B
 豪腕という感じでもないですが、丁寧で正確なミドルパスでオフェンスを指揮するNYの若鶏。NFL屈指のプレイアクションの使い手でもあります。ブライアン・グリーシー亡き今では(死んでない)、No.1と言ってもいいかもしれないそのフェイク。分かっていても騙されます。パサーとしてはペイトン・マニングにもそう引けは取らないと思う。その不幸は、同地区にディフェンスの鬼が揃っていることと、エースWRがサンタナ・モスだということ。


4.MIAドルフィンズ (昨年10‐6→今年予想5‐11)

 開幕前なのになぜか既にシーズン終了してるチーム。プレビュウなど書く意味があるのかどうか怪しいところですが。RBリッキー・ウィリアムズはハワイでホセ・メンドーサの霊が降りてきたとかで、真っ白な灰化。SDから獲得したWRデヴィッド・ボストンは、これっぽちも役に立たずにロストするというボルタック商店ぶり。すっかりウィザードリィの世界に迷い込んでしまった様子のMIA。一応、看板の守備陣は残ってはいますが、CBブロック・マリオンが抜けたり、LBザック・トーマス、CBサム・マディソンが三十路に突入してたりで、上がり目はなし。守り合いでもNE、BUFには勝てそうにないです。今季の見所は、留任の魔術師デイヴ・ウォンステッドHCの首がいつ飛ぶかの一点だけとか。

QB#9ジェイ・フィードラ 肩:B- 脚:A- 心:C
 スティーヴ・ヤング、ジョン・エルウェイが去った後、最近ではスクランブルを武器とする白人QBというのはもはや絶滅寸前という感じですが、その数少ない生き残りの一人。そんなに無能だとは思わないですが、スクランブルで激しいタックルを受けるので、だいたいシーズン終盤の肝心な時にガタが来て使い物にならなくなるのが難。かといってフィードラからスクランブルを抜いたら、残るのは並以下のパスだけ。今年も終盤の破滅に向かって走る。と思ったけど、今年はチームが最初から破滅してるので無理しない方が良いかもしれません。


1.NEペイトリオッツ(12‐4)…NEトリプレッツ最後の年?
2.BUFビルズ(11‐5)…無理するな村木。
3.NYジェッツ(9‐7)…2本柱に全てを託す。
4.MIAドルフィンズ(5‐11)…倒叙モノへの挑戦。