2003シーズン(7) 〜NFC南地区〜

 一見すると華々しいようだけど、じっくり顔ぶれを見ると意外と地味でその落差に驚く、NFCの紅白歌合戦

 ディフェンディング・チャンピオンで今年も優勝候補筆頭のTB。オフェンス向上を目論んで獲得したグルーデンHCの下、ほとんどオフェンスは向上しませんでしたが、守備の力であっさり優勝してしまいました。グルーデンをどう評価していいか微妙なところですが、ともかくスーパー制覇という結果を残したのですから。数字には見えない何かをもたらしたのでしょう。明るさ、とか。スーパー制覇後の恒例行事、戦力大バーゲンですが、最低限の赤字で乗り越えられたのではないでしょうか。Sジャクソンなどは元々控えですし、スーパーMVPを取って価値が急騰したところで売り払うというのはなかなか商売上手。何より大きいのが、モンテ・キフィンDCの留任。今年も相手にトラウマを与えるようなディフェンス・アタックが見られそうです。攻撃陣もこれといった補強も流出もなし。ランの非力さが目に付きますが、このチームは基本的に得点はCBかLBが取ることになってるので問題はないと思われます。パス攻撃はQBジョンソンが先発を務める限り、大爆発の魅力はない代わりに大暴発の危険もなし。穴がほとんどない守備陣の中で、強いて弱点を挙げればSSリンチのスピード不足。ここのところ、相手WRにあっさり振り切られる場面が目立ちます。そうした弱みを見逃さないNEとレギュラシーズンで当たらないのが救い。去年:12勝4敗→今年予想:12勝4敗、NFC南地区優勝。

 QBマイケル・ヴィックとともに一躍注目のチームとなったATL。ヴィック獲得のために払った多大な犠牲もあっさりペイしてしまいました。去年飛躍の要因はリーグ4位のラン攻撃、そしてその3分の1を走ってるのがQBのヴィック。RBダン、ダケットとQBヴィックの3人が均等にランを仕掛けるという、別次元バランスアタックは相手チームには脅威の的です。しかし、今年はそのヴィックがプレシーズンマッチで負傷、開幕4試合欠場とのこと。痛過ぎます。ヴィック抜きのATLは、いわば浜崎あゆみ抜きの愛内理菜。どんなだ。この開幕4試合+ヴィック復帰直後の3試合を切り抜けることが出来るかがプレイオフ進出を左右します。あとBSの視聴率も少し左右します。私は4勝3敗くらいと見てます。かなり甘いですか。新加入のWRプライスには、エースとしてヴィックとのホットラインで大きなインパクトを期待。守備は全体的にタレントに欠けますが、それでも失点7位としぶとい。ウェイド・フィリップスDCもだてに高い金貰ってないということでしょう。ダン・リーヴスHCともども、チームが不調だと生死(コーチ人生とかではなく。そのままの意味)に関わりそうなところが選手たちに必死さを生むのだと思われます。ヴィック本調子の終盤に5連勝でプレイオフすべり込み、という予定。去年:9勝6敗1分→今年:10勝6敗、ワイルドカード

 全体的に現状維持かやや停滞気味というチームが多いNFCの中で、上昇を密かに期待しているCAR。悪夢の15連敗を喫した一昨年から去年は大きく盛り返して7勝9敗。その立役者はQBピート、ではもちろんなくてリーグ2位の守備陣。BSではCARの試合などは当然のように放送しないのですが、DEジュリアス・ペッパーズは凄いらしいということだけは伝わってきています。あと、スペシャルチームもリーグトップクラスらしいです、見たことありませんけど。堅守と優秀なスペシャルチーム、とくればあと必要なのはタフなRB。そこでスパリアー政権の下でたそがれていたRBデイヴィスを獲得出来たのは天佑です。デイヴィスがCAR移籍を決めた主な理由が「家から近いから」という、高校受験の志望動機のようなものであるあたりもまさしく天佑です。スピードとパワーを兼備したリーグ屈指のRBを得て、勝利の方程式が出来ました。堅く守る、STで押し込む、ランで時計を支配する、パスは申し訳程度に投げる。おそろしく単純な方程式ですが、単純だからこその強さもあります。QBがピートで良いのかという気はしますが、ディルファーで優勝したって許されるんだからピートがプレイオフに行って何が悪いことありましょう。心配な点としては、万が一スーパーボウルがBAL−CARの組み合わせなどとなったら視聴率はTBSのドラマ並になってしまうだろうということです。去年:7勝9敗→今年:10勝6敗、ワイルドカード

 ちょっと前までは守備がよく踏ん張る勝負強いチームという印象を持ってたんですが、気付いたら得点3位の攻撃陣を持ちながら守備が崩壊、終盤失速と丸っきり逆のチームになっていたNO。全体的に地味でコメントに困るチームです。一番キャラが立っていたOTカイル・ターリーも移籍しちゃいました。「TBの天敵」「QBがヴィックのいとこ」という以外にアイデンティティを見つけることが出来るのか、自分探しの旅となる今シーズン。勝手なこと言ってます。南部の風土病である12月病をMIAに伝染されてしまったことが、ここ2シーズン、プレイオフを逃すことに繋がっているようです。この病気には今のところ特効薬は見つかっていないので、今年も同じように失速するんではないでしょうか。去年:9勝7敗→今年:8勝8敗。

1位 TB(チャッキーは二度笑うか)
2位 ATL(ピークは来シーズンという気もする)
3位 CAR(おお、キャロライナ)
4位 NO(聖者の後進)

  • タカクさんの予想

合言葉はヴィックがいぬ間に。

昨年の覇者・バッカニアーズ。うっかりグルーデン就任1年目で制覇してしまったので、主力の流出はほぼ皆無。キフィン率いる鬼畜ディフェンスにマイルドなオフェンスとバランスも取れています。しかし、その進まないオフェンスも、今年はグルーデン色が出て一新か。まあQBがブラッド・ジョンソンなのが救いですが。去年あまりうまくいかなかったランニングゲームが動き出せば、手がつけられなくなる可能性も。怖いのは現状維持という名の停滞。チームに広がる満足感をどれだけグルーデンが払拭できるかが鍵です。つうか、まじで死角が見当たらない。どうしよう。

セインツ。去年はなんとなくプレーオフを逃しました。あまり知らないのですが、オフェンスが強いらしいです。QBブルックス、RBマカリスター、WRホーンはリーグでも屈指。Jリーグでも屈指。ただ去年27位のディフェンスをどこまで建て直せるか。そんなにチームあったっけ。無理そうですが、ここはHCのハズレットに注目しましょう。もちろんその手腕には注目せずに、彼のナチ将校顔だけを見るのです。ドイツ系かどうかは知りませんが、軍服を着てない事が大変悔やまれます。ダンケシェーン、ヴァンケルクホーヘン(ベルギー人)。

さて、お次はパンサーズ。去年はチャージャーズと同じジェットコースターに乗りました。守備はペパーズという化け物を手に入れたので、かなり強固。今年はオフェンスが課題となるでしょうが、棚からぼたもちというかフランス料理フルコースというか、ワシントンの支離滅裂によってRBスティーブン・ディヴィスを獲得。何故だ。これでやっと31位のオフェンスにも功名が、と思いきやQBはロドニー・ピート。これはどうなのか。デトマー兄とイーグルスでスタメン争いをしていた頃が懐かしいです。懐かしんでどうする。オフェンスダメそう。

さて、この地区の鍵を握るヴィック率いるファルコンズ。のはずが、骨折により開幕から最低4戦欠場。ぎゃあ。これでアトランタプレーオフは8割方消えました。代わりはダグ・ジョンソンですが、いい悪いはともかく、ヴィックと全くタイプが違うため、それに慣れているオフェンスチームにはどうやってもアンフィット。最初の4つをなんとか五割で乗り切れれば最高だと思いますが、それも難しいかもしれません。せっかくWRプライスを獲得したというのに。ただ、尻に日がついてからのヴィックの超人的アスレチックを見るのもまた一興。彼を評してザック・トーマス曰く「あんなに速い選手は見たことがない。QBでじゃない。全選手の中で、だ。」まだ見てない人は必見です。

1.バッカニアーズ グルーデンはここでへまをやらかすほど間抜けじゃない。
2.ファルコンズ 期待を込めて。ヴィックが復活するまでが鍵。スケジュール見たら4週目まで意外にゆるい。
3.パンサーズ ディヴィス次第でもっと上にも行けるかも。カロライナにパンサーがいるとはとても思えない。
4.セインツ んー、まあこういう順位。ひょっとしたらNFCで一番きつい地区かも。