(1)AFC東地区

 さて、いよいよプレビュウ。開幕まであと二日ということで、今年も書き終わるころには9月終わってそうです。
 今年は、これまでの「好きなチームのことは何でも上手くいくように解釈して無理矢理にでも高い評価する、嫌いなチームはその逆」という偏った予想方をあらためまして。各チームについて、全て上手く回った場合のシナリオ、なにもかもダメだった場合のシナリオ、両方を想定、Best、Worstとして書いてみることにしました。まあ、それでも、最終的な勝ち負けの予想は偏見によるわけですが。

1.NEペイトリオッツ (昨季10勝6敗→今季予想8−8、地区優勝)

  • Last Season:テディ・ブルスキの病、DBのケガ人続出でディフェンスがクライシス状態、ラン攻撃も不振で序盤は勝ったり負けたりの不安定な戦いぶり。それでも後半盛り返し、地区レベルの低さもあって地区優勝。プレイオフでは、初戦、まだまだ青いJAXに経験の差を見せ付けて転がすも、続く@DENではらしからぬ自滅っぷりから惨敗、三連覇ならず。チャーリー・ワイス、ロメオ・クレネル両コーディネイタの抜けた穴も感じられた。
  • Best:なぜか知らないけど昨季は大不振だったRBコーリー・ディロンがなぜか知らないけど蘇える、もしくは新人RBローレンス・マロニーがブレイクするかして、一昨年までのバランスアタックが復活して攻撃が安定。肝心なところでポロリするRBケヴィン・フォークにマーシャル・フォークの信頼性が加わったとかでもいいですけど。昨季はリーグ31位とボコボコだったパス守備も、ケガだらけだったDB陣の健康維持と、本来なら戦犯扱いでもおかしくないDCエリック・マンジーニがなぜかNYJに引き抜かれて自分からいなくなってくれたおかげで向上。攻守にバランス取れたチームで、同地区のへっぽこどもをタコ殴りにして楽々地区優勝。
  • Worst:不振の理由は「なぜか知らない」と↑に書いたディロンですが、本人の体調、やる気の問題ならともかく、CIN時代にも悪化したOLとの関係に問題あるとか、チャーリー・ワイスのプレイコールでないと走れないとかが原因なら、復活はない。ラン攻撃が確立できないとなると、残るはデヴィッド・ギヴンズが移籍、ディオン・ブランチは絶賛ホールドアウト中と昨季の稼ぎ頭2人が不在で、ただでさえ貧弱だったのに更にしょぼくれたことになってるWR陣によるパス攻撃のみ。現時点の1番手WRは、ここ最近はWRというよりもっぱら便利屋扱いされてきたトロイ・ブラウンという。得意のリターナ、裏芸のCBに加えて、今年はQBのバックアップ役もプレシーズンマッチでは務めるなど、便利屋ぶりにばかり磨きがかかってるようですが。このしょぼいWR陣では頼みのQBトム・ブレイディもさすがに発狂、というのが最悪のシナリオ。どんなに苦しくても、あのブレイディが狂うことはないとは思いますけど。
     守備は、プレイオフのサック王LBウィリー・マクギネストの穴、チームの魂LBテディ・ブルスキの健康状態、大怪我明けのSロドニー・ハリソンの回復具合と不安少なくない。そして、NEの勝負強さの象徴であったKアダム・ヴィナティエリが、よりによってNFLの勝負弱さの象徴だったINDに移籍。代わりはマーティン・グラマティカを蹴落とした新人のようですが、過酷なフォックスボロの冬を新人Kで乗り切れるのか。キックで接戦を落とすという、NEファンにはついぞ経験のない衝撃映像を見せられてショック死する人とか出なきゃいいですけど。
    • 昨季あたりも、かなり「ブレイディ一人で何とかしていた」感の強かったオフェンスが気掛かり。今年もブレイディだから何とかしてしまえるかもしれませんが、こういう特定の選手に依存するような戦い方というのはNEらしくない。「大スターの不在」がNEの強みだったのに。心身ともに鉄で出来ているブレイディですが、万が一壊れるようだと一気に転落の危険も感じます。今年も地区レベルは高くないので、地区優勝の可能性は高いですがその先はどうか。ディロンの復活とWR、TEからブレイクする選手が出てくるか次第。

2.MIAドルフィンズ (昨季9勝7敗→今季予想8勝8敗)

  • Last Season:長々と無駄に続いていたデイヴ・ウォンステッドのヒゲ政権が終焉、大学からニック・セイバンを新HCを迎えて再建のシーズン。3勝7敗とプレイオフの望みが絶えたところから無駄に6連勝もして勝ち越す。連勝中は全て23得点以上と高い得点力見せるも失点も多め。
  • Best:新加入のQBダンテ・カルペッパさんとOCマイク村木による自虐漫才が大爆発。良い意味で。BUFではHCとしてやっちゃってくれた村木ですが、OCとしてはQBコーデルさんでもサーカスプレイで色々誤魔化しながらプレイオフまで行った実績の持ち主。カルペッパさんもサイズがでかくて肩が強いというところ以外はコーデルさんと似たようなもの(機動力とか、レシーバを探せないとか、逆境に果てしなく弱いへたれっぷりとか)ですから、何とかなるんじゃないですか。そのカルペッパさんは、TEランディ・マクマイケルと「名前がランディだから」という理由でホットライン結成、ドッカンドッカン投げまくってTDを量産。実際、WRクリス・チェンバースやらマーティ・ブッカーよりマクマイケルの方が当てになります。さらにリッキー・ウィリアムズがお薬を飲んで五大湖の向こうへ旅立ったおかげで、出番が増えた2年目RBロニー・ブラウンが新加入FBフレッド・ビーズリの助けも受けてブレイク。どんな選手かよく知らないですが。まあ、パス攻撃が好調なら、そのおかげでランも進むということはありえます。
     守備では、DLのジェイソン・テイラー、ケヴィン・カーター、キース・トレイラー、ヴォニー・ホリデイという、おっさんカルテットが活躍。実績は充分、4人がベストシーズンの数字残せば45サックできる計算です。
  • Worst:新加入のQBダンテ・カルペッパさんとOCマイク村木による自虐漫才が大爆発。悪い意味で。BUFではやっちゃってくれた村木、ここでもやっちゃってくれるに違いありません。それにしても、せっかく昨季終盤の連勝で再建ムードが高まっているというのに、なぜその堅調な空気をぶち壊しかねないエキセントリックなプレイコーラーを連れてくるようなギャンブルをおかすのか。今季はまだ積み上げる段階だと思うんですが。カルペッパさんは昨季のエースQBガス・ファーロットより身体能力は上ですが、漢気ではまったく劣りますので、再建を託すとか重荷を背負わせるとプチッと潰れかねません。その場合は、控えQBジョーイ・ハリントンが出てきて、追い打ちをかけることになるわけですが。
     守備は、実績は充分だけどフレッシュさの欠片もないおっさんたちの衰えが心配。↑で「ベストなら45サック」とか書きましたが、カーターが17サックあげたのは7年前のこと。ホリデイなどはベストシーズンはデビュー年(8サック)ですので、机上の計算もいいところ。DLがプレッシャかけきれないようだと、ブロック・マリオンもパトリック・サーテインもサム・マディソンもいなくなったDBでは耐え切れないでしょう。
    • 昨季は終盤に弱小相手に連勝しましたが、元々は寒さに弱く、終盤は失速するのが常なチーム。今季は序盤、まだ村木のやり方とかカルペッパさんのリーダーシップに他の選手が疑問を抱く前に星を稼いで逃げ切りたいところ。前評判は高いようですが、もちろん私はカルペッパさんと村木ではダメダメだろうと思ってます。マイナスとマイナスをかけるとプラスになるというのはフィクションです。ただ、レギュラシーズンでは絶好調→プレイオフ初戦で派手に散るというパターンは考えられますが。

3.BUFビルズ (昨季5勝11敗→今季予想6勝10敗)

  • Last Season:前年9勝7敗からの飛躍が期待されたシーズンも、オフェンス低調で星は伸びず。マイク村木HCは目先の勝利を求めて、QBを若手のJP・ロスマンからベテランのケリー・ホルコムにスイッチしたりするも完全にドツボコース。看板だったはずのディフェンスまで崩れてグズグズに。
  • Best:ベストシナリオは先発2年目のQB JP・ロスマンがブレイク、と言いたいところですが、ベストでもそれはない気がする。Worstの方で書きますが、ブレイクする理由が見つからないですから。あくまでもここで書くのは「起こり得る最高のシナリオ」ですので、起こり得ないことは書きません。ロスマンは引き続き不発弾、RBウィリス・マゲイヒも現状以上を望むのは酷。ということで、オフェンスには希望がないので、あとは守備で活路を見出すしかない。CHIで守備の力だけで13勝したチームを作ったことがあるディック・ジャロンをHCにしたことからも、そのチーム方針は見えます。昨季はリーグ29位でしたが、守備のタレントは特にLBから後ろには充分揃ってるだけに、オフェンスのことしか考えてなさそうだった村木からジャロンへのHC交代で復活する可能性は充分。あとはDL。INDから引っこ抜いたDTラリー・トリプレットがラン守備で踏ん張れれば。元INDのディフェンス選手に期待しないといけない時代が来るとは思いませんでしたが。スペシャルチームは安定してますし、目指すは得点一桁台の超ロースコアゲームでの守り勝ち。
  • Worst:↑でロスマンがブレイクする理由が見つからないと書きましたが。WRはエリック・モウルズが抜けて、ピアレス・プライスが出戻りと微妙にグレードダウン。WRリー・エヴァンスとの快速コンビということになりますが、経験不足のQBに必要なのは、見つけやすくて安心して投げられる長身のWRです。プライスが出先のATLでブライアン・フィネラン以下の活躍しかできなかったことからも明らか。難易度の低いRB、TEへのパスに頼るという手もありますが、RBマゲイヒは豆タンク型でパスレシーバとして使うには小回りに欠けるし、TEはWASから移籍してきた昨季の18キャッチ131yがキャリアハイというロバート・ロイヤルですし。TE補強するにしても、もうちょっと他にいなかったですか。これだけ手駒にも恵まれず、そもそも素質も微妙だというのに、先発2年目だからというだけでロスマンのブレイクを期待するのは無茶。これで守備も復活せずとなったら、それはもう酷いことに。
    • 昨季のプレビュウでも3年連続の本命にして、「優勝するまでずっと本命」とまで書いたBUFですが、今年はあきらめました。BUF最大の好材料は、私があきらめたことだと思う。SDもあきらめた途端にプレイオフ出やがりましたから。もう勝手に頑張ってくれ。

4.NYジェッツ (昨季4−12→今季予想3−13)

  • Last Season:序盤からQBにケガ人続出であっという間に崩壊。不運といえば不運ですが、打たれ弱いチャド・ペニントンの控えに、こちらもケガの多いジェイ・フィードラを置いておいた危機管理能力の低さが招いた惨事ともいえる。大黒柱RBカーティス・マーティンも不調でデビューからの1000y記録が10シーズン目にして途絶える。収穫は、物置から引っ張りだされてきたQBヴィニー・テスタヴァーディが19年連続TDの記録を作ったことくらいか。
  • Best:過去4年を振り返れば明らかなように、このチームがベストな結果を出すためには、QBチャド・ペニントンとRBカーティス・マーティンの健康というのが前提条件。なわけですが。既にマーティンはヒザを痛めて故障者リスト入り。シーズン始まる前から前提壊れてしまいました。ということで、今年のNYJにBestはありません。せいぜい望みうる最高の結果は「シーズンが終わった時もペニントンが死ななかった」とかそんなところです。
  • Worst:マーティンの代役は、SFから取ったRBケヴァン・バーロウとなりますが、これはエースとしては使えないことが実証済みな2番手タイプ。昨年移籍したラモント・ジョーダンの穴埋めとしてなら丁度良かったんですけど。そうなると、攻撃はQBペニントンの肩に全てがかかるわけですが。なにせガラスの肉体の持ち主、グシャっと潰れる絵しか思い浮かびません残念ながら。ペニントンが壊れた場合は、2番手はパトリック・ラムジーラムジーかよ。どうしましょう、またテスタヴァーディに出番回ってきたら。ディフェンスも、リーグのインタセプト王CBタイ・ロウ、チームのサックリーダDEジョン・エイブラハムが去り、代わりにやってきたのがリーグ31位のパス守備を構築していたエリック・マンジーニ新HCとなれば、昨年のパス守備2位という数字を維持できそうになく、守り勝つことも難しそう。それにしてもなんでマンジーニ。
    • 影の大黒柱として君臨していたCケヴィン・マワイも去ってしまいましたし、今年のドラ1OTドブリガショ・ファーガソンら若返ったOLを中心に「マーティン・ペニントン以降」を模索していくシーズン。それにしては、ドラフトでもここ2年低い順位でしかRB指名してなかったり、昨季それなりに先発経験を積んだQBブルックス・ボリンジャをあっさり放出したりで、「以降」を誰が担うか全然ピンと来ないのがアレですが。他にもWRサンタナ・モスを諦めた途端によそのチームでブレイクしたり、なぜかマンジーニだったり、どうもフロントの正気を疑いたくなる状態。時間かかりそうです。

1.NEペイトリオッツ(8−8):ノーネーム集団からブレイディ軍団へ。
2.MIAドルフィンズ(8−8):空気を読め、笑いを取れ。
3.BUFビルズ(6−10):これでロスマン大ブレイクとかしたら泣く。
4.NYジェッツ(3−13):ドブリガショって名前の響きは楽しい。